ユニクロを巡る低価格戦略とは

アパレル業界で他社を寄せ付けない強さを見せていたユニクロに、陰りが見えてきました。

2016年に入り、1月7日に発表した15年9~11月期の決算では、売上収益(売上高に相当)は8%増の5203億円。海外での店舗数増加が数字を押し上げたものの、営業利益は17%減の759億円、純利益は30%減の480億円となり9~11月期としては5年振りの減益を記録したのです。

解説

苦戦をしいられているアパレル界の風雲児ユニクロ

同社はその主な要因として「一端を記録的な暖冬による冬物衣料の販売不振」を挙げていますが、報道による専門家筋の分析にはどれも「価格値上げによる、客離れによるところが大きい」と判で押したようなコメントが並びます。どうやら、デフレ経済下における低価格戦略をベースとしたユニクロのビジネスモデルは、大きな曲がり角に来ているようです。

そこで、今回、ユニクロが身上とする低価格戦略とはなにか考えてみたいと思います。まず価格戦略の基本からみてみましょう。


価格を高めするか、低めにするか

価格戦略には大きく分けて、「価格設定を高めに誘導するか」、あるいは「低めに誘導するか」の2つのパターンがあります。

前者の高めに誘導する戦略は「初期高価格政策」と呼ばれます。これは商品の市場投入時に高めの価格を設定しておき、成長期への移行と共に価格を徐々に低下させていくというやり方です。初めの段階で早期採用者層らを取り込んで品質の高さやイメージの良さを十分に市場に浸透させ、次の段階で価格を下げて保守的な消費者層を取り込む。開発費用を早期に回収したい、高性能の電化製品、ビデオデッキやデジタルカメラ、ハイビジョンテレビなどで積極的に採られてきた戦略です。

一方で後者の戦略が「初期低価格政策」です。商品の市場投入時に価格を低価格に設定し、同業他社に比べ価格的な魅力を前面に打ち出します。大量の顧客に商品購入を促し、圧倒的な市場シェアを獲得していく方法です。市場シェアを獲得した企業は、生産量が多くなっていくことからコストダウンが可能になり、さらなる低価格化が見込める。これにより他社との競争上圧倒的に有利な戦いを展開することが可能になるのです。これまでのユニクロの戦略ははまさにこちら。低価格戦略をベースとして、デフレ経済にも後押しされつつ飛躍的に業績を伸ばしてきました。

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