郷愁の街、ベトナムの世界遺産「古都ホイアン」
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バクダン通りから眺めたトゥボン川。エキゾチックながらどこか懐かしい不思議な光景
それはいつかどこかで目にしたような光景で、ベトナム人はもちろん、日本人や中国人、フランス人も同様に「懐かしい」と物語る。今回はそんなちょっと不思議でノスタルジックな街、ベトナムの世界遺産「古都ホイアン」を紹介する。
生きている世界遺産
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貿易陶磁博物館の2回から眺めたチャンフー通り。左の自転車がベトナム名物シクロ
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コロニアル様式の建物が立ち並ぶチャンフー通り
一方、経済発展によって東南アジアの都市は急速に西洋化・近代化して、どこに行っても同じような街並みが広がるようになった。現地の人々が暮らす風情ある街並みは本当に貴重なものになってしまった。
人々がいまも生活を続ける街並みで、現地の歴史と文化が深く感じられる場所――。インドシナ半島にはそんな「生きている世界文化遺産」がふたつある。ラオスの「ルアン・パバンの町」とベトナムの「古都ホイアン」だ。
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潮州出身者の華僑・華人が建てた潮州会館
そしてこうした建物はそれぞれ独立しているのではなく、街として見事に調和している。数百年の歴史と人々の日々の暮らしがこの一体感を作り上げているのだろ。
「古都ホイアン」を歩こう!!
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20,000ドン紙幣にも印刷されているホイアンのランドマーク、遠来橋(日本橋)の夜景
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記進家の内部の様子。中国風の豪華な祭壇が見える
世界遺産に登録されているのは東西1.2km、南北300~400mほどの狭い地域。下の地図に示したように、東のホンジエウ通り、西のコンヌゴックホア通り、南のトゥボン川、北のファンチューチン通りに囲まれた場所が登録範囲だ。
■「古都ホイアン」世界遺産登録範囲(Googleマップ)
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福建会館の牌坊と庭園
通りごとの見所は後述するが、その前になぜこのような特異な街が生まれたのか、ホイアンの歴史を探ってみよう。