企業のIT活用/システム運用管理

インボイスとは?消費税率アップ時の軽減税率で導入?

消費税率アップが検討されていますが、引き上げと同時に軽減税率を導入し、あわせてインボイスを導入することも検討されています。このインボイスって、どういうものなのか、どういった準備をしないといけないのかみていきましょう。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

インボイスってなに?

消費税の軽減税率でインボイスが導入される

消費税の軽減税率でインボイスが導入される

インボイスとは送り状、納品書のことで取引の事実を証明する書類です。ヨーロッパなど軽減税率が導入されている国ではメーカーから卸、小売りへと商品が流れる過程で、仕入先はインボイスを販売先に提出します。

インボイスがないと仕入でかかった消費税の控除が行うことができないので販売事業者は、インボイスを仕入側に交付する義務があります。インボイスには価格や消費税額が明記されていますので、消費税の控除額を確認でき、脱税や二重課税の防止に効果があります。現在、日本の消費税ではインボイスを必要としない請求書等保存方式が採用されています。

例えばメーカーが食料品を100万円で卸すと食料品は軽減税率になるので税率は8%です。インボイスには「食料品 100万円、消費税 8万円」と記載し、合計108万円で卸会社に販売します。卸会社が小売りに120万円で売るとインボイスは「食料品 120万円、消費税 9万6千円」となり129万6千円で小売店に販売します。最後に小売店は消費者に150万円で売り、消費者から受け取る消費税は12万円となります。
消費税の流れ

消費税の流れ


メーカーは卸から受け取った8万円の消費税を税務署に納めます。卸会社は小売から受け取った消費税9万6千円とメーカーに支払った消費税8万円との差額である1万6千円を税務署に納めます。同様に小売りは12万円-9万6千円の2万4千円を税務署に納めます。税務署には8万円+1万6千円+2万4千円の合計12万円の消費税が納税され、つじつまがあいます。

消費税額控除の証拠としてインボイスが必要となる

消費税額控除の証拠としてインボイスが必要となる

消費税額控除の証拠としてインボイスが必要となる

現在の消費税8%でも同じ仕組みです。ただ税率が8%しかないので売上と仕入額に8%を掛けるだけで計算でき極端な話をすれば明細なしで合計だけでもかまいません。軽減税率になると複数税率になりますので、単純に売上や仕入額に税率を掛けるわけにはいきません。品目ごとの明細が必要で税金を計算しなればなりません。

その証拠(エビデンス)になるのがインボイスです。必要事項が記載されていればよいので様式は決まっていません。発行側はインボイスの控えを保管し、受領側は領収書などとともにインボイスを保管します。税務調査があった時などの証明書類となります。

インボイスの発行は、販売管理ソフトなどがバージョンアップで対応します。実際の導入は2021年4月からで、軽減税率が導入される2017年4月からインボイス導入までは請求書に印をつける簡易な経理方式となる予定です。

現在、検討されている軽減税率の対象品目は酒類と外食を除いた生鮮食品と加工食品、そして新聞です。スーパーや居酒屋などのように食料品を扱っていない中小企業にはそれほど影響がありませんが、会社で新聞を購買している場合や新入社員などの歓迎会で簡単な茶話会を社内で行い、スーパーなどで買ってきたジュースやお菓子を買う経費は軽減税率となります。

次は「免税事業者は取引からはずされるかも」です。

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