トレンドキーワード2 『格安SIM』
通信料金が高止まりする中、2016年は『格安SIM』に注目が集まる!
アベノミクス効果で日本経済は好調のように見えますが、国民の生活はまだまだ豊かという実感に乏しく、多くの家庭の節約志向もまだまだ根強く残っています。現状、家計費の中で、携帯電話の通信費の占める割合は比較的高く、何とかして節約しようという人もきっと多いはずです。
今や携帯電話の契約数は、一般社団法人電気通信事業者協会の統計によれば2015年9月末現在で1億5,289万回線に達し、普及率は数字上100%を超えています。一方で、携帯電話の一人当たりの月額料金は総務省の実施した家計調査で2014年にはおよそ7,200円と国際的に見ても非常に高い水準であることが明らかになっています。
そのような状況を踏まえ、昨年9月には安倍首相自らが「家計への負担が大きい」として携帯電話料金の引き下げを検討するよう指示。首相の命を受け、総務省が中心となって携帯電話料金の見直しを積極的に推し進めています。
その携帯電話料金改定で大きな柱となるのが、“実質0円携帯”の廃止とライトユーザー向けプランの新設。
現状、携帯電話各社はライバル企業から顧客を奪う手段として、契約を乗り換えれば特定の携帯端末が0円になるという優遇策を実施しています。たとえば、携帯端末を2年の割賦で購入し、月々の支払いが3千円であれば、通信料から3千円を差し引く割引を提供することによって、ユーザーは端末代金を負担することなく、携帯電話を利用できるようになるのです。ただ、この“実質0円携帯”は、短期で携帯キャリアを乗り換えるユーザーに著しく有利なサービスであり、長期利用者との平等なサービスの提供の観点から是正が求められているのです。
また、現状主要携帯電話会社の料金プランはデータ通信量が月間5GBで7,000円程度ですが、MM総研の調査によれば月間の使用量が3GB以下のユーザーが61%を超えるなど、多くのユーザーが利用していないデータ量の通信料金を余分に払わされているという実態が浮き彫りとなっています。そこで、総務省はライトユーザー向けのプランを新設するよう携帯電話会社各社に指導し、データ通信量が1GBで通話とセットすれば5千円を切るプランを各社が打ち出してきたのです。
ただ、携帯電話各社は、過度の低価格化には消極的であり、利用者の恩恵は限定的なものになるといっても過言ではありません。
そこで、注目を浴びるのが『格安SIM』なのです。
今後もし、携帯料金が高止まりし、携帯端末の購入も高額な代金を負担しなければならないようであれば、2年間の契約期間が終了後、同じ端末で格安SIMに乗り換えるユーザーも増えてくるでしょう。
たとえば、最近ではNTTコミュニケーションズや楽天など大手企業も格安SIMを提供していますし、ヤマダ電機やヨドバシカメラ、ビックカメラなどの家電量販店も格安SIMを展開しています。料金も安い業者であれば、高速データ通信1GBと通話機能が付いたプランが月額1,260円と破格の料金になっているのです。
格安SIMはMM総研の調べによれば、2015年3月末で326万回線と市場のわずか1.8%ですが、ここ数年で大きく成長を遂げているサービスであり、今年は主要携帯電話会社の料金体系の改定に伴い、益々注目を浴びてさらにユーザーの拡大が進むことが予想されます。
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