観客の声に「あ、本当にアウェイなんだ」って思った
――気になりつつもあくまでそこは謙虚に。それで実際の対戦の話ですけど、ファッションとか明らかにいつもより可愛い感じでしたよね?パーカーにチェックのミニスカートとか。MIRI あれは作りましたね(笑)。
――いつもの衣装とも違うし、こんなアイドル売りだっけ? と見てて思いました(笑)。
MIRI いつもは黒いスキニーに黒いパーカーみたいな感じで真っ黒なんですよ。相方(ライムベリー・MC MISAKI)が女の子女の子してるんで、どんどんボーイッシュになっていっちゃって。でも運営と話し合って「この日は女の子でいってくれ」って言われて、「わかりました!」って。いつもよりチークも濃くして、スカートも履いて。
――アイドルなのに、アイドルを偽装するっていう。
MIRI だから始める前も、いつもは「マイクチェックワンツーワンツー!(低い声で)」ってやるんですけど、「は~い」って高い声でやって(笑)。完全に作りこみましたね。
――そして本番、可愛いルックスからあの声でガンと奇襲かけてくる感じはインパクトあったと思います。「CD何枚売ってんだ?」「こっちがデカいとこでやってんだ」、そして「私が(戦極に)出るってだけでニュースにもなっちゃうんだぜ?」で沸かせました。
MIRI 心がけてたのは、相手をディスるよりは「私はこんなに凄えんだぞ」と自分を上げようと。
――ある程度内容も考えてた?
MIRI いやっ、わたしはフリースタイルやる時はネタとかあんまり仕込まずにその場なんですよ。終わった後とかもぜんぜん記憶がないんですよね、何言ったかとか。緊張してたかっていうのも曖昧なくらいで。終わってから映像見せてもらって「こんな事言ってたんだ自分!」って。
――闘争心モードになる。
MIRI そうなんですかね? スイッチが入っちゃうんですよ。
――そしてK-razyさんの「名前のねえところからここまできた」に対して「私だって名前のないところでやってる」「ライムベリーの事務所知ってるやついるかよ?」と返し、同じく彼が3日後にUMBでスタジオコーストに出る事を絡めてきたのに対して「スタジオコースト?そんなの簡単だよ/私はワンマンで埋めてやるよ」と締めました。普段は絶対言わないですよね、ワンマンやるとか(笑)。
MIRI 絶対言えない、というか1ミリも思ってない(笑)。ほんとマイク持つと変わっちゃうんですかね……。
――最後自分のラップを終えた直後はどんな心境でした?
MIRI 本当にもう負けた、って思って。でもやりきった! 楽しかった! って感情でしたね。本当にこれで自由の身になれる、じゃないけど、1観客として戦極楽しめるー、って気分でしたね。って思った所に「延長だー!」ってなって、もうすごい集中が切れちゃってたんで、「もう無理だよMIRI……」てのが正直なところで(笑)。
――オーディエンスの歓声が甲乙つけがたい、ということで一回戦唯一の延長戦に突入しました。あの時の歓声はどう聞こえました?
MIRI ありがたかったです。あんな野太い歓声をこんなにありがたいと思ったことはないですね(笑)。こんなに熱のこもった歓声は……気持よかったです。それに最初にステージに出てきた時、「K-razy、ブッ殺せ!」って声が聞こえてきて、それで「あ、本当にアウェイなんだ」って思って。だからこそ自分の実力を認めてくれて、声をあげてくださったのは本当に嬉しかったですし、ひとりひとりに話に行きたいくらいありがたかった。あれはもう、人生で一番の経験をしたなって自分でも思います。
――本当の意味で自分ひとりの実力で歓声を勝ち得たって経験、そんなに出来ないですよ。
MIRI あと最初に会場に入った時、「あの小娘」みたいな目線が多かったんですよ。それも出演者の方からがそうで。「ちょっと話題になったアイドルラップね」「所詮アイドルだからメディアに出てんだろ」って目線がすごかったんですけど、いざ試合が終わって控室に戻ってくると、みんな「良かったよ!」「格好良かったよ!」って初めて挨拶をしてくれて。最初「おつかれさまです」って言おうとしても目線すら合わせてくれなかった方々が。それで「あ、これは認められたのかな」って。逆に認められないとやっていけない世界なんだなって思いましたね。
――実力のみ、ラップですべて見せないとダメっていう。お愛想でも挨拶してくれない。
MIRI 全くしてくれないんです。だからこそ経験になるステージだったというか、自分の力が試されたステージだったなって思います。
――ただ、延長戦は集中が切れてしまった。
MIRI もう言い訳でしかないんですけど……。それが今の自分の力かな、と。
――でも延長戦ではK-razyさんから「ここで話し合えるほどお前は強えよ」「今ここに立てば2人で作るグルーヴ」と言葉を投げかけられました。
MIRI ほんと、自分が好きなラップだな、尊敬できるなって思いましたし、これは認めてくれたのかなって嬉しさはありましたね。