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ユーリ・ン×ジョヴァンニ・ディ・パルマ インタビュー(4ページ目)

『火の鳥』『春の祭典』『悪魔の物語』(『兵士の物語』より)の三部作で贈る『ストラヴィンスキー・トリプル・ビル』。20世紀の名匠ストラヴィンスキーの音楽世界に、三人の名振付家たちが挑みます。ここでは、演出振付のユーリ・ン、振付指導に加えダンサーとしても出演するジョヴァンニ・ディ・パルマにインタビュー! 作品についてお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド


ウヴェ・ショルツ振付『春の祭典』

ウヴェ・ショルツがジョヴァンニ・ディ・パルマのため創作した『春の祭典』ソロ・ヴァージョン。翌年ウヴェ・ショルツが46歳の若さで急逝したことから、彼の最後の振付作のひとつになりました。日本初演となる今回は、オリジナルキャストでありウヴェ・ショルツの魂を継承するジョヴァンニ自ら振付指導にあたっています。

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『春の祭典』(c)Andreas Birkigt


ーー作品についてご紹介ください。


ジョヴァンニ>
『春の祭典』はウヴェ・ショルツが2003年に振付けした作品です。彼は2004年に亡くなっているので、生前手がけた最後の作品のひとつであり、当時僕のために振付けされた作品です。ストラヴィンスキーのピアノ曲二曲によって構成されています。背景にダンサーが踊るビデオ作品が流れ、その前でダンサーがソロで踊る。ひとりのダンサーが舞台上にふたりいるという趣向です。

ウヴェ・ショルツは振付で新しい世界を開拓しようとしていました。ドイツではピナ・バウシュがダンスと演劇を融合させたタンツテアターを発展させましたが、彼が目指していたのはバレエシアター。クラシックバレエの言語を用い、現代のシアターと連動させるという試みです。

『春の祭典』にはひとりのダンサーが登場します。彼が表現するのはありとあらゆる強いイメージであり、作品のなかにさまざまなテーマが込められています。ドラッグ、セックス、アルコールなど、生の苦悩を体現し、自分の人生について振り返る。この人生が辿り着く場所とは何処なのか、苦しみながら探求していく。観客にとってはもちろんですけど、それを演じるダンサーにとっても非常にハードでセンセーショナルな作品です。ダンサーは自分の感情を極限まで引き出さなければならないという意味で、とてもチャレンジングで難しい作品だと感じています。

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『春の祭典』リハーサル(c)miki sato


ーーウヴェ・ショルツ作品は日本ではこれまであまり紹介されてきませんでした。

ジョヴァンニ>
日本ではまだ上演したことのないウヴェ・ショルツのバレエ作品を紹介する機会を与えていただき、とてもうれしく思います。この作品を上演したいとずっと思っていましたが、これまでなかなか実現に至りませんでした。ウヴェ・ショルツの振付の特徴は、とてもシンフォニックであるということ。それは、モーツァルトやヴェートーベンといった偉大なクラシック音楽家の楽曲を使ってフルバレエを振付していたという理由が大きいでしょう。

非常に豊かな音楽性を持っていて、ダンサーを巧みに使いこなしていました。彼のダンスをみれば、音楽を感じることができた。ダンスと音楽の融合がとても上手な振付家だったと思います。フランスの作家・スタンダールの『赤と黒』という小説をもとに二時間のバレエ作品を振付けていますが、これはジョン・クランコ以降に振付けられたなかで一番壮大なバレエだといわれています。

またウヴェ・ショルツの振付は非常に人間的だともいわれています。感情をしっかり作品に振付ける。ステップをただ重ねていくだけではなく、全てのステップに意味や感情を付けていき、意味のない動きを排除する。その手法はユーリの振付とも非常に似た部分を感じます。

ph

『春の祭典』リハーサル(c)miki sato



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