この年末にラストステージを迎えます。最後の瞬間をどのように想い描いていますか。
ギエム>最後の瞬間はなるべく考えないようにしています。考えるすごく感情的に高まって、よくないのではないかと思っていて……。大変辛い決断ではありましたが、自ら決めたことです。ただやはり悲しいことを想像するのは苦手なので、今はあまり考えないようにしています。『ボレロ』 2011年 モーリス・ベジャール振付 「HOPE JAPAN」より 共演:東京バレエ団 撮影:長谷川清徳 写真提供:日本舞台芸術振興会
高松宮殿下記念世界文化賞を経て、引退公演に挑む意気込みをお聞かせください。
ギエム>とても辛い気持ちになるでしょう。最後まで感情が高ぶるでしょうけど、あまりそういうことに引きずられないようにしたい。そして今までしてきたように、最後までベストを尽くしたいと思います。(C) TOKIKO FURUTA
プロフィール
シルヴィ・ギエム100年にひとりと称される世界最高のバレリーナ。1965年パリ生まれ。12歳のとき体操競技で五輪国内予選を通過するが、パリ・オペラ座バレエ学校で学んだのをきっかけにバレエに転向。1981年パリ・オペラ座に入団。1984年、当時の芸術監督ルドルフ・ヌレエフに見い出され、19歳の若さで最高位のエトワールに昇進する。柔軟かつ強靱な肉体と美しい脚線、豊かな表現力で 従来の女性ダンサーのイメージを一新。完璧な「6時のポーズ」(180度開脚)の先駆者でもある。1989年、英国ロイヤル・バレエ団に移籍し、世界的な活動を開始。近年はコンテンポラリー・ダンスにも積極的に取り組んでいる。来日30回以上という大の親日家でもあり、2011年の東日本大震災時には被災者のためにチャリティー公演を実施。2015年末での引退を表明しており、12月のラストステージは日本で行う予定。