使い勝手も高まったシステムキッチンのウォールキャビネット
フロアキャビネットとウォールキャビネットを組み合わせた、対面キッチン出多くみられるプラン。[ザ・クラッソ] TOTO
一般的に、システムキッチンの収納は、加熱機器(コンロや・IHクッキングヒーター)やシンク、水栓金具などを組み込み、基本的な収納スペースを確保した「キッチン部分(フロアキャビネット・ユニット)」と、食器や家電などの収納を目的とした「周辺ユニット」に分類されます。基本となる「キッチン部分」の収納には、ウォールキャビネット(ユニット)を組み合わせるプランが多くみられます。
ウォールキャビネットとは上吊タイプの収納
ウォールキャビネット(ユニット)とは、一般的には、壁面に設置した収納のことですが、キッチンの場合、上吊の収納ユニット(ボックス)のことを指すケースが多いようです。各メーカーのシステムキッチン商品には、プランや空間に合わせることができるように、いくつかのサイズ(高さ)や幅のウォールキャビネットが設定されています。多くみられるのは、天井からの高さが90センチから40センチ程度までのタイプ。数種類の幅を持つキャビネットが用意されているシステムキッチンもあり、大型のワイドタイプを揃えた商品もみられます。
ウォールキャビネットの下に窓を設けて、すっきりとした印象のキッチンに。 [Lクラスキッチン プラン例 I型壁付け+家電対面カウンタープラン] パナソニック エコソリューションズ
空間のつくり、収納するモノ、使う人の身長などを考慮して
ウォールキャビネットをプランニングする際には、空間のつくりや使う人の身長、収納するものなどによって、取り入れるサイズを検討することがポイントです。たとえば、対面キッチンに取り入れるのであれば、視線を遮らないようなタイプに。窓がある場合は、開口部に合わせて、高さが異なるキャビネットを組み合わせてもいいでしょう。場合によっては、小さめの窓としたり、低い位置に窓を設けるなどして、ウォールキャビネットの設置スペースを確保しても。また、背面の壁に周辺ユニットなどと組み合わせるのであれば、豊富な収納スペースを確保できる大きめのタイプを選んでもいいでしょう。
手が届く高さのタイプを選ぶことが基本ですが、低すぎると作業中に頭がぶつかることもあるので、シンクや調理コーナー上部に設置する際には、注意が必要です。
窓からの光も取り込むようなキャビネット。下扉は、すりガラス調で、すっきりとしたライン取っ手に。[窓用ドレスアップウォール(収納棚+水切り)] TOTO
開き戸や引き戸タイプなど。耐震ラッチを設置可能なタイプ
ウォールキャビネットの開閉方法は、開き戸タイプ、扉の上部が固定され開閉するタイプ、扉が手前に出つつ直昇するタイプなどがあります。直昇するタイプは、開き戸タイプに比べ、扉が邪魔にならず出し入れしやすいのが特徴でしょう。デザイン的には、すっきりとした取っ手、もしくは取っ手のないタイプの開き戸もみられますし、力を入れずに指一本で開閉できるタイプなどもあります。
また、地震による揺れを感知して、扉の開閉と収納物の落下のリスクを軽減する耐震ラッチ(ロック)が設置されているもの、閉まる時の衝撃を吸収し、ゆっくり閉まる機能を持つタイプもみられます。
その他、ウォールキャビネットは照明を組み込むことができるタイプも揃っています。手元はもちろん、フロアキャビネットのカウンターを照らすものなので、キッチン空間の照明計画と合わせて検討すること。最近では、LEDを取り入れたタイプも多くみられるようになりました。
地震の揺れを感知して扉を自動ロック、収納物が落下するのを防ぐ。[ Lクラスキッチン ウォールユニット 耐震ロック] パナソニック エコソリューションズ
手動や電動で昇降するタイプ。水切り棚や食器乾燥機能も
ウォールキャビネットの使い勝手と活用度を高めるため、ユニット部分が電動や手動でアイレベルまで下げることができるタイプの揃っています。取り出しにくく上手に使いこなせない上段の棚や奥に入れた物も、昇降機能がついたタイプであれば、空間を有効に利用することが可能でしょう。手で引き下ろすタイプ、ボタンを押すと昇降し手を離すと止まるタイプ、スイッチで操作できる電動式などがみられます。キャビネット内は、調味料や調理道具の収納スペースとしたものだけでなく、洗った食器を収納できる水切りタイプ、食器乾燥庫タイプ、除菌乾燥機能を持つものも。また、仮置き用のラックなどが組み込まれたタイプなどもみられます。食器乾燥庫や水切りのタイプであれば、シンク上に設置することで、洗った食器をすぐにしまうことが可能。水切りカゴが不要になるのでカウンターがすっきりとするのがメリットでしょう。仮置き用のラックは、盛り付け時などにも便利なものです。
洗った食器をそのまま収納し乾燥。スイッチで棚が上下に昇降するので、使い勝手もいい。[アレスタ オートダウンウォール食器乾燥庫タイプ(自動昇降式)] LIXIL
使い勝手のいいアイレベルの収納ラックも揃う
壁付タイプのキッチンプランなどでは、フロアキャビネットとウォールキャビネットの間の壁面を有効活用するパーツを取り入れてもいいでしょう。アイレベルに設けられるものなので、分かりやすく手も届きやすいのが大きなメリット。壁面に直接取り付けるもの、ウォールキャビネットに組み込むものなど、メーカーによって、さまざまなタイプが揃っています。たとえば、よく使う調味料などの収納スペースとなるものであれば、調理スペースの上に。洗った食器の水きりや仮置きや食材などを置くことができる簡易な棚などは、シンク上に設置すれば、使い勝手もいいでしょう。また、ペーパーホルダーやタオルハンガー、フック、スパイストレーなど、デザインにもこだわったオプションが用意されているシステムキッチンもみられるので、プランに合わせて取り入れてもいいでしょう。
手の届きやすいスペースに棚やハンガーを設けて、よく使うアイテムをすっきりと収納。[アレスタ アイレベルレール(ウォールキャビネット下用)] LIXIL
ショールームで実際に使い勝手や操作性の確認を
このように、ウォールキャビネットにもさまざまなタイプが揃っています。マンションリフォームなどで取り入れやすいように、既存の梁のカタチに合わせることができるタイプなどもみられ、空間を有効に使うこと可能な商品も豊富になってきいています。検討する際は、まず、キッチンの作業スタイルなどを考慮して、収納したいアイテムをピックアップすること。その上で、適する収納ユニット、開閉方法などを選ぶことが大切です。もちろん、ショールームで使い勝手やデザインなど、実際にキッチン作業をイメージしながら操作し、確認することは基本。収納量はもとより、開閉や操作方法、掃除のしやすさなどもチェックすることがポイントです。
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