セクシュアルマイノリティ・同性愛/LGBT

絶対に観てください! 橋口監督の映画『恋人たち』(4ページ目)

橋口亮輔監督の7年ぶりとなる新作長編映画『恋人たち』の上映が始まりました。号泣必至。ゲイに限らず、世の中の理不尽さに苦しんだことのあるすべての人にとっての救いとなる作品です。今月は『恋人たち』のほか、渋谷区・世田谷区でパートナーシップ証明がスタートした件など、いくつかのトピックをお届けします。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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TOKYO AIDS WEEKS 2015

TOKYO AIDS WEEKS

     

世界エイズデーである12月1日を中心とした1ヵ月間、厚労省や各地方自治体によってさまざまな啓発イベントや臨時検査会などの催しが行われます。今年最も目立っているトピックとして、東京でのエイズ学会の開催に合わせて展開される「TOKYO AIDS WEEKS 2015」というキャンペーンがあります。今回の特集では、ゲイコミュニティの方たちも少なからず貢献している「TOKYO AIDS WEEKS 2015」のことをご紹介したいと思います。

日本エイズ学会は、毎年、全国のいろんな都市で(持ち回りで)学術集会・総会を開いていますが、第29回となる今年の日本エイズ学会学術集会・総会は、11月30日(月)~12月1日(火)に東京・文京区の東京ドームホテルで開催します。その直前の週末である11月28日(土)と29日(日)には、HIV/エイズ分野のNPOや研究機関、社会福祉法人はばたき福祉事業団、公益財団法人エイズ予防財団などが協力して2日間にわたるプレイベントを国立国際医療センターで開催します。

このプレイベントとエイズ学会、そして世界エイズデーに関連したイベントなど期間中のさまざまな動きに新しいつながりを生み出していくべく、そして、「市民のエイズへの関心を高めて感染拡大の抑止をはかるとともに、HIV陽性者およびHIV/エイズに対する偏見差別を解消し、感染した人々も安心して暮らせる社会を目指すこと」を目的に、11月21日(土)~12月12日(土)をTOKYO AIDS WEEKSとしてキャンペーンが展開されることになりました。テーマは「UPDATE YOUR REALITY HIV/エイズをめぐる現実はものすごいスピードで変化している。」です。

「HIV/エイズをめぐる現実はものすごいスピードで変化している」というのは、いったいどういうことなのでしょう? 「変化」の一つと思われるお話が、こちらに載っていたので、読んでみてください。HIV感染は他の病気と違って予防できないという認識だったのが、覆されます(驚きです)。きっとTOKYO AIDS WEEKSのイベントやエイズ学会に参加してみると、現在の最前線の治療や予防のことがわかることでしょう。学会というと堅苦しいイメージかもしれませんが、これを機に、講演会などにも参加してみてはいかがでしょうか?(会員じゃなくても受講できたりします)

TOKYO AIDS WEEKSには、二丁目のaktaやぷれいす東京、JaNP+といったおなじみの団体が企画・運営でかかわっており、11月28日(土)のエイズ学会プレイベントではゲイ合唱団によるミニコンサートが行われたり(会場となる国立国際医療研究センターの吹き抜けロビーで「OUT IN JAPAN」の写真展も開催)、12月1日(火)には二丁目のAiSOTOPE LOUNGEでゴージャスな出演者によるクラブパーティが行われたりします。また、11月23日(祝)の池袋エイズフェス'15にも、二丁目で人気のパフォーマーがたくさん出演します。楽しみながらも、最新の情報を知ったり、いろんなことを感じられるはず。ぜひ、足を運んでみてください!

TOKYO AIDS WEEKS 2015  
日程:11月21日(土)~12月12日(土)
企画・運営団体(TOKYO AIDS WEEKS 2015 実行委員会):特定非営利活動法人akta、特定非営利活動法人日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス、社会福祉法人はばたき福祉事業団、特定非営利活動法人ぷれいす東京、特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議、公益財団法人エイズ予防財団、国際基督教大学ジェンダー研究センター、第29回日本エイズ学会学術集会(会長 岡慎一)
後援:新宿区、ヴィーブヘルスケア株式会社、鳥居薬品株式会社、アッヴィ合同会社

ゴトウは1990年代からHIV予防啓発イベントでショーをしたり、aktaの前身の前身であるMASH東京という団体の勉強会で司会をやったり、エスムラルダさんを主演に迎えて「検査なんて怖くない」というビデオを作ったり、展覧会やイベント(東京だけでなく、沖縄でも)を開催したり、さまざまなかたちでHIV/エイズにかかわってきました。それは、身近にHIV陽性の友人たちがいたからであり、勇気をもってカミングアウトしてくれたみんなへの感謝とリスペクトの気持ちを込めて、ぼくらのコミュニティと切っても切り離せないこととしてやってきたのでした。

HIV感染ってほとんどは(血液製剤とか注射針とかをのぞけば)性行為によるもので、ある意味、予防に失敗したことで感染した陽性者を支援することって、(男性どうしの)性行為自体を受容し、承認することだと思うんですね。いくら治療法が進歩してきてはいても、世間のひどい偏見や死への恐怖と闘ってきた方たちも多くて、セクシュアリティのことも含めた全人的なサポートが、支えてくれる仲間の存在が本当に大切だと思います。よく「LGBTが暮らしやすい社会は誰にとっても暮らしやすい社会」と言いますが、もう一歩踏み込んで、「HIV陽性者が暮らしやすい社会は誰にとっても暮らしやすい社会」とも言えるんじゃないでしょうか。

しかし、巷では、HIV/エイズのことってどこか他人事だったり、未だに「かかったらおしまい」的なイメージも根強い気がします(メディアが平気で「エイズ撲滅」とか書いちゃうところにも表れています)。HIV予防に対する予算もどんどん削られてきています(全国のコミュニティセンターの存続が危ぶまれています)。世間の方たちにももっと、HIV/エイズのこと伝えたい、身近にいるかもしれない陽性者の気持ちに共感してほしいと思い、これを書いています。

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