カタルーニャ料理とは
バルセロナはスペイン北東部に位置し、バルセロナ県、ジローナ県、リェイダ県、タラゴナ県から成るカタルーニャ州にあります。カタルーニャ州はカタルーニャ地方とも呼ばれ、スペイン北部のバスク地方と並んで、スペインを代表する美食地方です。そんなカタルーニャ地方の料理の特徴は、他の地域ではあまり見られない海の幸と山の幸をミックスした料理があること。キノコやエビ、鱈、黒トリュフなど地元で採れる食材のバラエティが豊富です。「最も有名なカタルーニャ料理はパン・アン・トマカ(パン’コン・トマテ)という、パンにトマトをすりつけ、オリーブオイルを垂らしたもの」と言う他地方の人もいますが、ブティファラ(ソーセージ)やエスケイシャーダ(鱈入りサラダ)、エスカリバーダ(野菜のオーブン焼き)、カルソッツ(焼きネギ)、フリカンド(牛肉の煮込み)、フィデウア(パスタのパエリャ)などなど、多くの伝統料理があります。デザートではクレマ・カタラナというクリームブリュレが定番です。
ここでは定番の地元の料理が食べられる店や市民に長年愛されている店、地元のシェフによるオリジナリティを加えたカタルーニャ料理の店を紹介したいと思います。
元ミシュラン1つ星レストランシェフのカジュアルライン
ミシュラン1つ星を擁していた「ドロルマ」はサービス、料理ともバルセロナ屈指の高級店として有名でした。2011年に惜しまれつつ閉店した後、シェフのフェルミ・プッジ氏が2013年にオープンした店がその名も「フェルミ・プッジ」。ビジネスマンが多い地区にある同店は、エレガントさや丁寧なサービスの質は「ドロルマ」と変わらないものの、料理は伝統的なカタルーニャ料理がメイン。過剰な演出はない分、洗練された馴染みの料理を適正価格で食べられると評判です。約60席ある座席はほぼいつも満席。
初めて訪れるならア・ラ・カルトではなくコースがおすすめ。ランチは2皿にデザート、パン、ドリンクが付いて35ユーロ、夜は3皿、デザート、パン、ドリンクで50ユーロです。特筆すべきはコースの料理の選択肢の多さ。通常それぞれ2、3品のなかからスターター1品、メイン1品を選ぶが、同店では全16品のなかから前菜、メインと区切らずに自由に選択できます。
カジュアルラインの店とはいえ、料理の味や使われる食材は「ドロルマ」を彷彿させる一流のもの。地中海でも採れる高級珍味なまこや、ロブスター、様々な肉や野菜でだしをとったエスクデーリャというスープなど、是非一度は食べておきたい料理が揃います。デザートにはムース状のクレマ・カタラナ(クリーム・ブリュレのような地元のデザート)がおすすめです。
内装はテーブル間がゆったりとしていて寛げる雰囲気。サービスも丁寧で気持ちがいいですよ。
<DATA>
■Fermí Puig(フェルミ・プッジ)
住所:Balmes 175,Barcelona
TEL:(34) 93 624 1835(34) 93 624 1835
営業時間:13:00~15:30、20:30~23:30
定休日:日曜、月曜
「星に興味はない!」王室御用達の隠れた名店!
「ミシュランガイドの星に興味はない!」と、わが道をゆくレストランながらなんと王室一家やアメリカ映画監督ウッディ・アレンも来店する「カ・リシドレ」。隠れた名店と評判です。エレガントな店構えではあるものの、高級住宅地ではなく劇場や映画館などが多いポブレ・ノウ地区にあり、1969年オープン当時からアーティストが好んでよく訪れる店だったそうです。1984年に当時の国王フアン・カルロスとソフィア王妃が訪れたことで全国的に有名になりました。
料理は地中海テイストを加えたカタルーニャ料理。例えばフォアグラは、生を購入して店でスパイスなどを漬け込み調理するなど、一皿一皿徹底して丁寧に作られています。また秋にはカタルーニャ州で採れる珍しいキノコの料理も豊富に揃います。羊の脳やなまこなど、スペインでも珍しい食材を使った料理から、もつ煮こみのカリョス、地元産のグリーンピースの煮物など伝統的な料理もあります。
一押しのデザートは「コウラン」と呼ばれるフォンダン・ショコラ。中からトロリとリキッド状のチョコが出てくる温かいチョコレートケーキです。今でこそスペインで有名なデザートですが、元はフランスのデザートで、同店はスペインで最初に取り入れた店と言われています。
平日なら40ユーロで4皿とデザート、パン、ドリンクがつくランチメニューがお得。ただ地元のビジネスマンなどで混むので、予約は必須です。夜は外国人客も多くインターナショナルな雰囲気なので、旅行者にもとっつきやすいかもしれません。
<DATA>
■Ca L'Isidre (カ・リシドレ)
住所:Carrer de les Flors 12 Barcelona
TEL:93 441 1139
営業時間:13:30~16:00、20:30~23:00
定休日:日・祝、8月の最初の2週間
ダリやミロも訪れた歴史あるレストラン
閑静な高級住宅街にある、ミシュランガイド1つ星レストラン「ビア・べネト」。地元の人は誰もが知る歴史ある高級レストランです。バルセロナがあるカタルーニャ州は、マドリードがあるスペイン中心部よりフランスに近いので、少なからずフランス料理の影響を受けていますが、同店の料理もその然り。シェフのオリジナルの加わって、モダンなテイストが光ります。
店の雰囲気はエレガントでクラシックなもの。約70人は収容できる大型店です。サービスも全くそつのない完璧なもので、旅の思い出にちょっと贅沢なディナーを……というシチュエーションにぴったりです。
魚も肉もまんべんなくありますが、おすすめは鴨を焼いたもの。同州産の高級鮪のタタキも絶品です。
また同店が誇るのは地下6メートルにあるワインセラー。なんと10000種もの国内外のワインが揃います。年代物もあるので、お誕生日ディナーなら生まれ年のワインをオーダーしてみるのもいいですね。ランチ、ディナーの予算は80~120ユーロ。
<DATA>
■Via Veneto (ビア・べネト)
住所:Ganduxer 10 Barcelona
TEL:93 200 7244
営業時間:13:00~17:00、20:30~23:00
定休日:日曜
カタルーニャ料理を代表する大御所の店
レスタウラン・ガッジの名物料理、カネロネ
このお店で絶対外せないのは「カネロネ」。カネロネは筒状のパスタに肉の煮物を詰め、ソースをかけて焼いたもの。中の煮物はフォアグラ入りで、独特のコクがあります。このお店の名物料理なので、是非試してみてください。豚の足の煮物「ペウ・デ・ポルク」や、シンプルながらおいしい家庭の味、チーズ味のマカロニも美味です。
店内の内装はシンプル且つエレガント。客層は年輩の地元の人が多いので、一見入りにくいかもしれませんが、サービスは英語で対応できるのでご安心を。
<DATA>
■Restaurant Gaig (レスタウラン・ガッジ)
住所:Corsega 200 Barcelona
TEL:93 453 2020
営業時間:13:30~15:30、20:30~23:00
定休日:日曜夜
田舎の家風レストランでお手軽に
上記3店は、バルセロナを代表するカタルーニャ料理の名高い店でしたが、もっと手頃な価格で気軽に試したいと言う方におすすめなのが「チコア」。正直に申し上げるとこのクラスの郷土料理の店はたくさんあるのですが、このお店は外観、内装の雰囲気がユニークなので、ご紹介したいと思います。1969年にオープンしたレストランですが、街中にありながら田舎の家にいるような雰囲気が味わえます。昔の調理器具や食器が飾られ、大きな暖炉も印象的。
スペイン語でバカラオという鱈料理が自慢で、なんと約20種あります。おすすめは3つの異なる方法で調理された鱈が出てくる「スルティード・デ・バカラオ」。バカラオ・ア・ラ・サンファイナと呼ばれるトマトなどの野菜と煮込んだものは、有名な郷土料理です。
小さめの料理7皿とデザートで29ユーロの「ピカ・ピカ(おつまみ)メニュー」もあります。約70人収容の大きめのお店。予約なしでも入店可能でしょう。
<DATA>
■Chicoa (チコア)
住所:Aribau 73 Barcelona
TEL:93 453 1123
営業時間:13:30~15:30、20:30~23:30
定休日:日曜夜