今回の来日公演でジョン・クランコ振付作『オネーギン』全3幕のオネーギン役を踊ります。日本でオネーギン役を披露するのは初めてですね。
フォーゲル>2014年11月にシンガポールでオネーギンデビューをしました。その後2015年1月にシュツットガルト・バレエ団でオネーギンデビューをしましたが、シュツットガルトで踊ったときの方がやはりプレッシャーは大きかったですね。今までずっとレンスキー役ばかり踊ってきたので、自分でもどうしてオネーギン役を演じることになったのかよくわからなかったし、最初は信じられなませんでした。一生レンスキー役を踊っているんだろうなと思っていたから、オネーギン役が自分にまわってくるなんて考えてもみなかった。これまでもいろいろなカンパニーから“オネーギン役を踊ってみないか?”というお誘いをいただいてきたけれど、実際のところなかなか実現には至りませんでした。
けれど、ようやくこうしてシュツットガルト・バレエ団でオネーギンデビューをする機会が与えられた。『オネーギン』という作品はシュツットガルト・バレエ団の十八番であり、僕自身シュツットガルト育ちで小さいころからシュツットガルト・バレエ団の『オネーギン』を観てきたので、オネーギン役を踊ることができるのは非情に感慨深いですね。
『オネーギン』 (C)Bernd Weissbrod
実際にオネーギン役を踊ってみて、手応えはいかがでしたか?
フォーゲル>みんなに“オネーギン役は難しいよ。特に鏡のパ・ド・ドゥは女性と一緒にずっと走り回るくらい大変だし、すごくヘビーだよ”と言われていました。けれど幸いにもその一番難しいと言われるシーンを世界バレエフェスティバルでポリーナ・セミオノワと踊っていたし、アリシア・アマトリアンとも踊った経験があったので、全幕を踊ることになったときもさほど抵抗はなかったです。普段だったらかなり体力を使った後であのヘビーなパ・ド・ドゥかと思うけど、僕にとっては逆に踊り慣れているパ・ド・ドゥだったから、言われているほどではなかったというか。みんなに“難しい難しい”と言われていたのですごく大変なんだろうなと覚悟していましたが、むしろ一番難しいと言われていた部分をすでに踊っていたので、気持ち的にはラクでしたし、思いがけずスムーズにクリアできたような気がします。