この春第二回開催を迎える『ダンス・アーカイヴ in JAPAN』。昨夏開催された第一回公演では、石井漠振付作品『食欲をそそる』(1925年初演)と『白い手袋』(1939年初演)の二作を責任監修されています。前回の手応えはいかがでしたか?

石井>私が漠先生のところへ入門したのは1948年のことです。それから先生がお亡くなりになるまでずっとそばにいて、本当に多くのことを学ばせていただきました。けれど前回『ダンス・アーカイヴ in JAPAN』で漠先生の作品と向き合っているうちに、先生について知らないことが沢山あるということに改めて気付きました。漠先生を含めて先達たちのやってきたことを、私たちはあまりにも知らなすぎる。先達たちを想い起こすこと、それこそ一番大切な作業なのではないだろうかと身をもって感じました。

この公演を機に、いろいろなことを勉強させていただいています。そういう意味でも、本当に素晴らしい企画だと感じています。これを機に漠先生のことをもっと知りたい。やっぱり見逃してきたことがいっぱいあると思うし、伝えていかなければならないことが本当に沢山ある。私たちにとっても漠先生という存在を掘りおこし、社会に伝えていくことは、大切なことだと考えております。

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「食欲をそそる」 Photo by Takashi Shikama


石井かほるさんの師・石井漠さんは、日本モダンダンスの創始者として日本洋舞史を切り開いてきました。

石井>驚くことに、漠先生は36歳のときにドイツへ行っているんです。あの時代のことですからもちろん船旅で、横浜からマルセイユまで42日間かかったと聞いています。さらに同行した15歳の妹・小浪さんを訓練して、船の上で作品までつくっている。それが『カモメ』というふたりで踊る作品。1922年のことです。言葉もわからないなか、何の援助も受けずに自ら海を渡っていった。あのエネルギーはどこから出てくるんだろうと思って、本当に圧倒されてしまいます。すごいですよね。今のひとたちが、どんなにラクかということです(笑)。

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「白い手袋」 Photo by Takashi Shikama