シネマ・リターンズ
ガイド:2007年にはシネマの再結成アルバムとなる『CINEMA RETURNS』、昨年は『サイエンス・フィクション・マン』とシネマのメンバーとしても活動されていますが、再結成は新宿ロフトでの『ムーンライダーズ30周年記念ライヴ』でのシネマ再結成がきっかけだったのでしょうか?
CINEMA RETURNS (amazon.co.jp)
一色:
もちろんそれが一番のきっかけですが、オレの中にはずっとキヨ(松尾清憲)と道半ばで別れたみたいな悔いがあったのも事実です。またいつか二人で曲を作りたいと心のどこかでそういう思いが燻ってました。せっかく復活するなら新曲も作りたいと思っちゃったんですね。それが今も続いています。
ソロは封印していたわけではない
ガイド:2012年には初のソロアルバム『歪』を発表されました。実際のソロ・デビューは、遡ること1986年のコンピレーション『東京1ダース』に収録の「Busy Week Oh My」ですよね。長い間、ソロを封印していた理由とかはあるんですか?
東京1ダース
一色:
別に封印してたわけではないんですが、バンドをやってるともうそれで手一杯なんですよ。『歪』は、例の震災の後になんか世の中がおかしな方向に向かいそうだったので、音楽家として何か言っとかないといけないなと思い制作しました。これは個人の意見だというニュアンスでバンドではなくソロ名義で出したかったんです。
家で娘がPerfumeとか、きゃりーちゃんとか
ガイド:訊きたいことが多すぎて前置きが超長くなりましたが、ニューアルバム『60』について伺います。今回、アルバムを聴く前に、かなりエレクトロニックですとの情報が入ってきていたのですが、オープニングの「ガチャガチャ」から「うゎ、ほんとだ!」と頷きながら聴いていました。還暦にしてエレクトロポップ路線で行こうと思われた動機が知りたいです。
60 (amazon.co.jp)
一色:
タイツの頃はよく聞くと半分近くは打ち込みなんですよ。昔からそんなことも好きで。最近の巷のアナログ熱みたいなのも、なんか盛り上がりすぎると、そうじゃないこともしたくなっちゃうんですよ。要するにひねくれ者なんです。家で娘がPerfumeとか、きゃりーちゃんとかを大音量で聞いてるのに付き合ってるうちに、なんかカッチョいいな~とかも思っちゃっいました。
ガイド:
Perfumeとかきゃりーという名前がここで出てくるとは! なんだか嬉しいです(笑)。
一色さんが愛用されたYAMAHAのシークエンサーQY10は、「電車の中で公園で旅先で、これ1台で音楽できる」とうたっていますが、これは今回の作品には使ったのですか?
一色:
今回のアルバムは、QY10は使ってません。プロデューサーの松田信男先生にQY10の役をやってもらいました。QY10で作曲してたピークは、タイツの『ゲットカルト』のころです。もう大人のオモチャでしたね。ゲームにはまるみたいにはまってました。