英米の若者の3割~5割がセクシュアルマイノリティ!
この8月、アメリカでセクシュアリティについての調査が行われ、30歳未満の人の29%が「完全な異性愛者とは言えない」と回答したことが明らかになりました。この調査を実施したのは、さまざまな統計を行っている情報サイトのYouGov。彼らは異性愛者や同性愛者の程度を測る「キンゼイ・スケール」を使用して調査を行いました。「キンゼイ・スケール」は1948年にアルフレッド・キンゼイ博士[※1]によって考案された指標で、0から6の段階に分かれています。
0:完全な異性愛者
1:主に異性愛だが、時と場合によっては同性愛も辞さない
2:主に異性愛で、たまに同性愛
3:異性愛と同性愛の中間
4:主に同性愛だが、たまに異性愛
5:主に同性愛だが、時と場合によっては異性愛も辞さない
6:完全な同性愛者者 ――というものです。
まず、年齢に関係なくアメリカ人全体について調査した結果ですが、全体の78%が完全な異性愛者と回答しました(しかし、このグループのうちの12%が同性との性交渉の経験があると認めています)。また、全体の4%が完全な同性愛者だと回答し、さらに16%が中間に位置している(バイセクシュアルである)と回答しました。[※2]
18~29歳の若者に限ってみると、完全な異性愛者が64%、完全な同性愛者が2%、中間的(バイセクシュアル)と回答した人が29%という結果になりました[※2]。30歳~44歳ではバイセクシュアルの割合は240%、45歳~64歳では80%、65歳以上では7%となっています。
また、イギリスでもYouGovによって同様の調査が行われ、その結果、18~24歳の若者のうち、完全な異性愛者と回答した人と、それ以外の人(同性愛またはバイセクシュアル)が同じくらいになりました。完全な異性愛者と回答したのが46%、完全な同性愛者と回答したのが6%、中間(バイセクシュアル)であると回答したのが43%という結果です。全年代の合計では、完全な異性愛者が72%、完全な同性愛者が4%、中間(バイセクシュアル)が19%となっています。[※2]
【注釈】
[※1]キンゼイ博士が1948年に発表した性行動調査「キンゼイ・レポート」では、20歳~35歳の白人男性の11.6%がバイセクシュアルであったこと、男性の10%が16歳~55歳の間の少なくとも3年間は同性愛者であったことなどが書かれており(この数字が『世界がもし100人の村だったら』の「100人のうち11人が同性愛者です」につながっていると思われます)、アメリカ社会にセンセーションを巻き起こしました。
[※2]合計すると100%になりませんが、これは0~6のそれぞれで小数点以下を切り捨てているためではないかと考えられます
(YouGovのサイトも見てみましたが、その辺りの統計上の処理に関する記述は見つけられませんでした)
セクシュアルマイノリティ人口の調査はこれまでさまざま実施されてきましたが、どんなに多くても人口の約10~11%という結果がほとんどでした。今回、これを大きく上回り、アメリカでは全体の20%(29歳以下では31%)、イギリスでは全体の24%(24歳以下では49%)がストレートではない=同性愛またはバイセクシュアルだと発表されたのは、驚きの数字です(これにトランスジェンダーを加えるとさらに増えることは言うまでもありません)。今まで「セクシュアルマイノリティは人口の数%」と控えめに言っていたところを、「2割強」とか「若者だったら3割~5割」と言えるようになったのです。画期的なことです。
YouGovの総論では、「もちろんこの数字は、今現在バイセクシュアルな性行動をしている人がどれくらいいるかを示しているわけではありません。注目すべきは、今回の調査が、人々が次第にセクシュアリティに対してオープンマインドになってきていることを示唆するものだということです」と述べられています。
すでに同性婚が認められていて社会が十分同性愛に寛容になっているような国(オランダや北欧、カナダなど)で同様の調査をしたら、もっと高い数字が出てくるのでは?と思います。セクシュアルマイノリティとは言うものの、実はマイノリティでもなんでもない(差別する人たちの方がマイノリティ)っていう時代がすぐそこに来ているのかもしれないですね。