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白井剛×キム・ソンヨン『原色衝動』インタビュー!(6ページ目)

白井剛とキム・ソンヨン、日韓ふたりのダンサーが共演する『原色衝動』。写真界の鬼才・アラーキーの鮮やかな映像を背景に、同年代でもある両者がその関係性を舞台上に投影します。公演に先駆け、白井さんとソンヨンさんのおふたりにインタビュー! 創作の課程と作品への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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似て非なるおふたりが同じ舞台に立つ上で、どのように融合されていくのでしょう。もしくはその差異をあえてあらわにしてくのでしょうか。

白井>これだけ一緒に過ごしていれば、お互い違うなりの考えは見えてきている。寄り添うことはできるようになっているけれど、そのことによって面白くなくなっている部分もあるので、お互い濁らないようにしないといけないとも思っています。違う要素を同時に見せるところに緊張感をもたせるには、もっとそれぞれがはっきりしなければいけないと思うし、それを身体の部分でもっと探っていかなければいけない。

身体の部分で探っていくには時間がありさえすればいいし、共存する場所さえあれば何とかなるけれど、共存する場所を一緒につくるのが難しい。ふたりで無人島に投げ込まれれば何とかサバイバル生活をするけれど、そこにステキな女の子が来ます、どういう家を建てましょうとなったとき、“僕はこういう家がいい”“僕はああいう家がいい”となるから難しい。

演出手法、発想法自体も混在してごちゃごちゃで、どこまでコントロールできるかわからない状態、というのも作品としてひとつありえるのかなと思います。最終的な作品性がわからないものになるかもしれない、という風にしておかないと動けない。無責任なようですが、どういう色を模索したいとなると別れてくるから、最終ビジョンは持たない方がいいのかなという気がしはじめているところです。

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ソンヨン>僕もそう思います。昔は動きこそがダンスだと思っていたけど、最近はそれよりもどういうプロセスを経て何を頑張ってつくってきたかという背景にあるものを大切にするようになってきた。今彼と一緒につくっていますが、根本的に振付の仕方が違う。ふたりの違う要素を混ぜて、舞台上でお客さんに違う振付家なんだと見せつつ、ときどき“あ、すごく近いんじゃないか”という部分も見せられたらいいなと思っています。でもそれをどう見せるのかというところでふたりがどれだけ近づいていくか、これからまだ大きなひと仕事が待っている感じです(笑)。

自分としては、自分が見て欲しいものをお客さんが見てくれることが望みではあるけれど、それはすごく難しい。見るひとに届いて欲しいものがちゃんと伝わっているかどうかはわからないし、こちらの考え通りに何かを感じさせることはきっとできないと思う。ダンスは僕にとって言語だけれど、言語というのは必ずしも共通ではなくて、誰にでもわかるものではない。逆に、上手く言えなくてもすごく通じ合ったり理解できることもある。お客さんにはダンスを通して、僕たちふたりを通して、その先にある違いや共通する何かを見てもらえたらという想いでいます。


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撮影:荒木経惟



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