マンション物件選びのポイント/エコマンション

機械に頼らず自然の風や光を取り込むエコマンション(2ページ目)

都内にありながら豊かな自然環境に恵まれた立地にあり、その環境を活かすパッシブデザインを多用した最新エコマンションができると聞き、見学してきました。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

最新省エネ設備も兼ね備えてダブルでエコ

キッチン水栓は節水型。ディスポーザーも装備

キッチン水栓は節水型。ディスポーザーも装備

前のページでは「プレミスト高尾サクラシティ」のパッシブデザインによる省エネ手法をご紹介しましたが、こちらのマンションはパッシブデザインだけではなく、エコジョーズ、保温浴槽、節水シャワーヘッド、節水トイレ、LED照明(一部)、ディスポーザー、複層ガラスなどの最新省エネ設備も採用しています。

さらに注目したいのが、経済産業省による「スマートマンション導入加速化推進事業」に認定されたスマートマンションであることです。

スマートマンションとは

2011年の東日本大震災を経て、ここ数年でマンションのエコ対応は大きく変わりました。その一つにスマートマンション化があります。

スマートマンションとはどんなマンションを言うのか、経済産業省のホームページから引用してみましょう。
マンション全体でエネルギー管理、節電及びピークカットを行い、エネルギーの効率的な使用や無理のない節電を実現するマンションのことであり、MEMS(マンションエネルギーマネジメントシステム:全体管理システムとHEMS端末で構成)を導入して、アグリゲータと呼ばれる事業者が、エネルギー管理サービスを行います。また、太陽光発電(PV)、蓄電池等を組み合わせることで、一層の節電効果、更には停電等の非常時におけるエネルギーセキュリティの強化を図ることができます。なお、一括受電設備との組み合わせにより、経済効果の向上を図ることもできます。

つまり、スマートマンションとは、一戸単位ではなくマンション全体でエネルギーを効率よく使い省エネを実現する仕組みを導入したマンションのことで、エネルギーを「見える化」し、居住者の省エネ意識を高めています。

スマートマンションの特徴

今回訪問したプレミスト高尾サクラシティは、マンション一括で高圧受電をしており、一戸あたりの電気料金が安く済みます。また独自の電気料金プランを導入しており、一度に多くの電化製品を使用すると電気料金の単価が上がり、反対に分散して使用すると安くなるプランを採用しています。このことにより電力のピークカットを行い、また住まい手の心がけにより電気料金を安くすることができます。

住人のアクションが必須

この仕組みを生かすためには住まい手が「今どのくらいの電気を使用しているのか」を把握して、アクションを起こすことが前提になっています。アクションとは、具体的には使用量がピークになりそうだったら使用を控えたり、外出したりする行動を言います。使用電力のピークを分散することで、電気料金が安くなるという仕組みです。

電気使用量の見える化はなるべくわかりやすく

【写真6】電気使用量が一目でわかるインジケーター

【写真6】電気使用量が一目でわかるインジケーター

家庭内の使用電気量を把握しやすくするために、キッチン脇の目につきやすい場所に、電力使用量を表示するインジケーターが取り付けてあります【写真6】。このインジケーターは、電気料金単価別に信号機と同じ赤、黄、青の三色のランプで表示します。

もし赤のランプがついていたら「今使用電気量が多くて料金が高い設定だから使用を控えよう」、黄色の時は「全体的に電気使用量が多めだから少し控えよう」、緑の時は「同時に使っている電気量が少なめで電気料金が安いから今のうちに洗濯機を回しておこう」などの判断に使えます。

 

パッシブデザインが生きる立地とは

今回訪問した「プレミスト高尾サクラシティ」は、都内にありながら環境に恵まれた立地にあり、最新のエコ設備やスマートシステムも搭載しつつ、パッシブデザインも取り入れたエコ重視のマンションでした。

パッシブデザインを導入して期待する効果を得るためにはマンションの周辺環境は大きなポイントになります。例えば周辺の交通量が多く、排気ガスや騒音が懸念される場所では窓を開け放しにすることは難しいでしょう。

プレミスト高尾サクラシティの周辺環境模型。敷地周辺に高い建物はなく、敷地北側は景観誘導地区に指定されている。南側には商業施設が計画されているが、3階から上では高尾山も臨める

プレミスト高尾サクラシティの周辺環境模型。敷地周辺に高い建物はなく、敷地北側は景観誘導地区に指定されている。南側には商業施設が計画されているが、3階から上では高尾山も臨める


パッシブデザインのマンションに向く人は?

パッシブデザイン型マンションのメリットは、自然の力を利用してなるべくエアコンなどに頼らずに、四季を通じて快適な暮らしができること。エアコンによる冷暖房が苦手な人や、高齢の方にもよいでしょう。

そして日々の光熱費を抑えられること、地球環境にも優しい住まいであることも、大きな魅力です。周辺環境は豊かな自然に恵まれていることとあわせ、これから教育費がかかる小さなお子さんのいるファミリーや、アウトドア派のご家族にもおすすめです。

【関連サイト】
プレミスト高尾サクラシティ
スマートマンションの推進(経済産業省)

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