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「愛着」のスタイルで分かる!子どものこころの健康度(2ページ目)

生涯にわたって人の心の健康を左右する、乳幼児期の大切な経験――それは子どもが養育者に対して感じる「愛着」です。愛着の築かれ方、愛着スタイルを知る目安など、愛着と人間の心との関係についてじっくり考えてみましょう。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

養育者との関係を映し出す3つの愛着スタイルとは?

泣く子ども

見知らぬ部屋でお母さんと離れたとき、子どもはどんな反応をするでしょう?

では、子どもが養育者との間にどのような愛着関係を築いているのか、知る手掛かりはあるのでしょうか? エインズワースという発達心理学者が行った「ストレンジ・シチュエーション法」という方法という実験を紹介しましょう。

これは、1歳の子が母親と見知らぬ部屋に入り、母親が一時的に離れて戻ってきたときに、子どもがどんな反応を見せるのかを調べた実験です。エインズワースは、実験に参加した子どもたちの反応を3つの愛着スタイルに分類しました。

1つ目の愛着スタイルは「安定型」です。このタイプの子どもたちは、母親が退室すると激しく泣きました。そして、母親が戻ってきたときには母親に寄り添い、混乱していた行動は落ち着きました。

2つ目の愛着スタイルは「回避型」です。このタイプの子どもたちは、母親が退室しても泣きませんでした。そして、母親が戻ってきても母親を求めず、むしろ、母親から離れようとしました。

3つ目の愛着スタイルは「アンビバレント型」です。このタイプの子どもたちは、母親が退室するときには激しく泣きました。そして、戻ってきた母親に寄り添うのですが、同時に叩くなどして反発的な行動も見せました。

3つの愛着スタイルから分かること

さて、上の実験における3つの行動から何が分かるでしょう?

「安定型」は養育者が離れていくときに分離不安を示すものの、戻るとその不安が落ち着き、安定を取り戻します。これは、養育者に愛着を感じている子に典型的な行動特性です。

「回避型」は養育者がいなくなっても分離不安が起こらず、戻ってきた母親を避けようとします。これは、養育者に愛着を感じていない子の行動特性です。

「アンビバレント型」は、養育者が離れると分離不安を示しますが、戻ってきたときに母親を攻撃します。これは、養育者に対する信頼が半信半疑で、養育者への愛着が不十分な子の行動特性です。

友情やパートナーシップにも欠かせない愛着の経験

子どもと外出したとき、養育者が急に離れても無関心だったり、戻ってきたときに歓迎されなかったり、陰性の感情をあらわにする場合には、愛着の形成が不十分な可能性があるかもしれません。

乳幼児期にしっかりと愛着を形成し、ポジティブな内的ワーキングモデルを形成すれば、大人になっても他者との間に健全な対人関係を築くことができます。また、社会に出ても自分に自信を持つことができます。つまり、愛着は友情、仲間関係、恋愛、パートナーシップを形成する上で、また自立した人間になる上で、非常に大切なベースになるものなのです。

ぜひ、お子さんとの楽しい時間を共有し、情緒的なやりとりを交わし合いながら、愛着関係を深めていきましょう。

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