食と健康/魅力の食材・成分(肉・魚介・野菜・フルーツなど)

意外な食品にも カフェインとの上手なつき合い方

カフェインといえば、コーヒーの苦味成分として知られていますが、実は茶類や市販飲料類など、他にも様々な食品に含まれています。カフェインの機能性やまた摂取する上での注意点をまとめます。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

期待されているカフェインの機能性

健康,ヘルスケア,コーヒー,カフェイン,茶,コーラ,エナジードリンク,覚醒作用,興奮,強心,過剰摂取

カフェインといえば、コーヒー。でもコーヒー以外にも様々な飲料、薬品などにも含まれています。

カフェインはアルカロイドという窒素を含む化合物の一つ。カフェインを含む食品として代表的なコーヒーについても、健康への影響は様々取り上げてられているのですが、今回はその成分についてご紹介します。

カフェインの機能性は、眠気覚ましなどの覚醒作用や疲労感の抑制、鎮痛、尿の排出を促す利尿作用、胃酸の分泌を促すことなどが広く知られています。

このほかにも「交感神経を高めエネルギーを産生する」 「集中力を高め作業能力を向上させる」 「運動能力を向上させる」など、様々な作用があるのではないかと今後の研究に期待がよせられています。それでは、こうしたカフェィンの作用は、どのような仕組みで起こるのでしょうか?

カフェインは小腸から吸収され血液にのって脳関門を通過し、大脳皮質を中心とする中枢神経に作用します。その作用とは例えば、抑制性の神経調節物質であるアデノシンは受容体と結合することで睡眠を誘発します。カフェインはアデノシンの構造と似ているため、A2aという受容体とアデノシンの結合を阻害することで、覚醒や疲労除去効果に関わっているのではないかと考えられています。

さらに心筋の収縮力増強による強心作用、脳血管収縮作用があり血管が膨張するタイプの頭痛の改善、また腎糸球体の流入血管拡張・尿細管の再吸収抑制作用による利尿作用なども期待されています。

また、カフェインは苦味料として食品添加物として使用されていたり、様々な作用を生かして眠気防止や頭痛薬などの医薬品成分としても使用されています。(医薬品の場合は、頭痛薬なら無水カフェインとして通常成人1回0.1~0.3gを1日2~3回経口投与)。

海外では妊婦やこどもに過剰摂取の注意喚起も

健康,ヘルスケア,コーヒー,コーラ,茶,覚醒作用,カフェイン

コーラにもカフェインは含まれています。

しかしカフェインの摂取は私たちの健康に役立つだけでなく、副作用もあります。どのようなものでも過剰に摂取すれば毒になります。

日本の「食品安全委員会」のカフェインについての取組状況は、日本人の摂取状況に基づいた食品のカフェインについての食品健康影響評価は実施されていません。ただし、過剰摂取や妊産婦及び子供への影響を懸念する意見があることから、海外の情報収集や提供を継続していくとしています。

食品安全委員会では、ファクトシートで以下のように人への影響をまとめています。

海外の情報によると、現在、食品中に含まれているカフェインについては、一日摂取許容量(ADI)のような健康への悪影響がないと推定される摂取量は設定されていません。一般的な急性作用は、中枢神経系の刺激によるめまい・心拍数の増加・興奮、・不安・震え・不眠症で、消化管系の興奮状態は下痢・吐き気をもたらすことがあります。

また、長期的な影響としては、肝機能が低下しているヒトなどの一部において、コーヒーの摂取と関連する高血圧リスクが高くなる可能性があること、特にカルシウム摂取量が少ないヒトがカフェインを摂取した場合、カルシウムの体内からの排出率を増やすので、骨粗しょう症の発症の原因となる可能性があることのほか、妊婦においてカフェインの摂取により胎児の発育を阻害する可能性があります。

なお、子供のカフェイン摂取による長期的な影響の可能性に関する報告はありません。
WHOやカナダ・イギリス・オーストリアなどの海外のリスク管理機関の評など詳しく知りたい方は、食品安全委員会の「カフェイン」のファクトシートをごらんください。

カフェインが代謝されて体内から排出されるまで、健康な成人より腎疾患のある人・妊婦・子どもはより時間がかかります。また授乳中もカフェインが母乳に移行することにも配慮しましょう。

海外のリスク管理機関では、妊娠中の女性や子どもについて、カフェイン摂取に注意喚起している国もあります。国によって1日あたりに影響のない最大摂取量は異なりますが、健康な成人で400mg、妊娠中の女性は、WHOで1日カップ3~4杯、他の国では200mg~300mg未満を推奨しています。

子どもでは年齡により異なりますが、カナダ保健省ではカフェインの摂取量が体重1kg当たり2.5mgと示しています。

2015年6月欧州連合(EU)の欧州食品安全機関(EFSA)の発表でも、120ページにわたる報告書から「妊娠中の女性を除く一般的な成人の場合、カフェイン摂取が1日400mg未満とし、1回の摂取量が200mgを超えないようにするべき」と示しました。

東京都福祉保健局のサイトでは、200mgのカフェインを食品に換算しています。コーヒーで1.7杯、紅茶3.3杯、煎茶6.7杯、コーラ4本(2リットル)、チョコレート6枚。カフェインを含む食品をとると眠りにくいなどという副作用は個人により異なりますが、常識的な量を摂取する分には問題がなさそうですね。


  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます