Optoは今後どのような展開を? カンパニーというスタイルは取らないのでしょうか。
渡辺>まず振付家の名前があって、それにみんなが付いていく、という傾向が日本にはありますよね。だけど、私自身振付家ではないので、違う観点からOptoのスタイルを形成できる良さがあると思います。常に違う振付家と違う作品をダンサーたちが踊れる環境をつくりたいです。もちろん、カンパニーという形式で活動できるようにしていきたいとも思います。プロフェッショナルなダンサーの中に少しずつ若いダンサーを混ぜ、彼らの可能性をたくさん引き出せる環境をつくっていくのが目的ですね。ダンス・舞台芸術に関心を持ってもらうためにも、継続していくことが大切だと思います。こういうスタイルだからこそ、ある一定の色に留まらない色を発信できると信じています。小尻>僕自身振付をしますけど、他の方の振付作品を踊ってると学ぶことが沢山あって。“こういう身体の使い方をするんだな” “こういう表現の仕方をするんだな”という気付きがある。そこからまた自分の表現が広がっていく気がします。自分の知らないことを知るのが好きなので、 振付をするのと同じくらいいろいろな振付家の作品を踊りたい。
同時に、振付も幅広い作品に挑戦したい。今年になって、オペラやミュージカルの振付をさせていただきました。そのうちのひとつ、東宝ミュージカル『エリザベート』は、演出家の小池修一郎先生が代々コンテンポラリーの振付家に託していて、これまでH.ART CHAOSの大島早紀子さんや島崎徹さんが手がけてきたパートです。コンテンポラリーダンス関係の方より違うジャンルのひとたちの方が、僕がやってきたことに興味を持ってくださったり、その要素を取り入れたいと言ってくださることが多い。僕自身もとても勉強になるので、違うジャンルのダンスにも積極的に取り組むようにしています。
稲尾芳文による新作『怖くても動き続けろ』リハーサル風景
Optoが目指すものとは?
小尻>いつかはカンパニーのようにして、ヨーロッパでキリアンなど僕たちが携わってきた本場の現代作品を日本に持ってきたいという想いがあります。そこから僕たちが次のステップに行ける振付家、ヨーロッパで注目されている新しい振付家や日本の振付家たちを呼んで、一緒に作品をつくっていけたらいいですね。渡辺>まずは、自分たちがヨーロッパでやってきたことを観てもらいた い。日本にはない感性がそこにはあるし、それが日本にもう少し定着していったらと思っています。 それから、ダンサーの環境を整えてあげたい。いろいろな作品を踊ることができる環境を、自分たちがヨーロッパで経験してきた環境をつくれたらと。難しいかもしれないけれど、若いダンサーが育っていく上で、彼らが活動できる場を整えたい。そのためにも、長い目でOptoを続けていきたいと思っています。