今回の “optofile3” では、稲尾芳文さんとヴァツラフ・クネシュさんを振付家に招いています。
渡辺>前回はスケジュールが合わなくてご一緒できなかったのですが、“今回こそは!”とヨシ(稲尾芳文)に新作『怖くても動き続けろ』をつくってもらいました。ヴァツラフさんには前回も振付をしてもらいましたが、とても好評でした。彼なりにいろいろ模索してるのか、ヴァツラフさんの作品は毎回テイストが違っていて、それが面白い部分でもあります。彼の作品はいつもこうだと決まったものはなく、常に変化していくんです。ケンタの作品もそれに近く、私自身そういうタイプの作家が好きなので、彼らのような振付家を呼びたいという想いがあります。今回上演するヴァツラフさんの振付作品『REEN』の初演は2010年で、ケンタと私は当時プラハで踊っています。すごく良い作品だったので、いつか日本でこの作品を上演でしたいと思っていました。
ヴァツラフ・クネシュ振付作品『REEN』日本初演
小尻>『REEN』の初演から数年後にヴァツラフさんのカンパニー ・420PEOPLEのツアーにゲスト参加してヨーロッパで踊りましたが、そのときすでにかなりアレンジされていました。『REEN』はギター奏者のアモス・ベンタールとコラボレーションで音楽をつくり、そこに僕たちの話し声をライブで録ったものにそのままエフェクトをかけて使ったりと、実験的な試みもしています。元ダンサーだったアモスだからこそ実現した作品です!
渡辺>舞台の上に音楽家がいて、生演奏をしたり、マイクでしゃべったり、歌ったり……。ダンスだけではない場面もあって、すごく楽しいです。
小尻>“故郷”や“我が家に帰る”というのが『REEN』のコンセプト。みん な海外で踊ってきたけれど、“どこが本当の家なんだろう?”と疑問に思うことがある。NDTは海外から来てるひとが多くて、ダンサーの90%くらいがそう。地元の人間がほとんどいないんです。
ヴァツラフさんもずっとオランダにいて、その後またプラハに戻ってカンパニーを立ち上げた。僕たちもヨーロッパでいろいろ活動をしてきて、またこの作品を日本で踊る。自分たちが築いてきたものを持ち寄りながら、もう一度家に帰る。作品のコンセプトと僕たちの心情がぴたりと合っているから、観る方にいろいろな印象を与えるのではないでしょうか。
前回公演より ヴァツラフ・クネシュ作品『Golden Crock』