パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

PANYA komorebi【西永福】(2ページ目)

西永福の商店街で開業以来ずっと北海道産の小麦でパンを焼いているPANYA komorebi(こもれび)。優しい表情のまるパンも、旨みたっぷりのバゲットも、クロックムッシュなどの調理パンも、ほっとするようなおいしさ。その向こうにあるものをお伝えします。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

本当に安心して食べられるものを提供できる店でありたい

人気のkomorebi食パン

人気のkomorebi食パン

齊木さんが最初に出会った北海道十勝の前田農産の「春よ恋」は「komorebi食パン」と「まるパン」に使われています。「噛むと、うまいうまい」齊木さんは笑います。「北海道に行くと、もっともっと小麦のことを知りたくなる。農家の仕事や、肥料のこと、農薬の話も聞けます。北海道の小麦は甘味があって味が濃いんです。バゲットも甘く感じる」。
甘味、と書いてうまみ、とも読むように、十勝産「ホクシン」の石臼挽きの小麦を使用したバゲットは旨みたっぷり。内相には美しい気泡が見られます。
komorebiバゲット

komorebiバゲット

やさしい表情のまるパン

やさしい表情のまるパン

「今、使っている小麦は約12種類。それぞれの素材の持ち味を重視しているので、特長を損なわないように焼きたい。基本は低速ミキシングで、一次発酵をとらないパンもあります。発酵から得られる旨みもありますが、それは粉のおいしさとは違います。粉のおいしさのために、極少量のセミドライイーストとルヴァンリキッドで、発酵というより熟成させるという感じでしょうか」。
クロックムッシュ

クロックムッシュ

どこかほっとする味のクロックムッシュも、ホワイトソースやゴーダチーズ、ロースハムとごまパンの相性がいい。ひと息に食べてしまい、おいしかったと伝えると「これもね、ただのごまパンのようなんですけど、本当においしいんですよ」。そして齊木さんは、大好きなものについて語る人ならではの笑顔を見せてくれました。
ツナサンドのトマトトースト

ツナサンドのトマトトースト

大好きといえば、独立のときにすっぱりとやめたサーフィンとパンには共通点がありました。それは、自然と接する感じ。そして、命をかけられる、ということ。
齊木俊雄さん、久子さん。二人でパンを焼いている。

齊木俊雄さん、久子さん。二人でパンを焼いている。

最後に、齊木さんは言いました。
「本当においしいものをつくる生産者が支持され、本当に安心して食べられるものを提供する店が増えてほしい。国産小麦の状況はTTPの影響を受け、大変厳しいものになっていきそうですが、北海道の小麦で作ったおいしいパンを食べ続けてもらうことで、生産者を少しでも支えていきたいです」。

一つのパンを選択することは、自分や家族が安心しておいしく食べられることに繋がるとともに、その向こうで働く人たちを支持することにも繋がっていく。ほっとするような温かいパンを食べた帰り道、そんなことを考えていました。

PANYA komorebi

PANYA komorebi

■PANYA komorebi(ぱんや こもれび)
住所:杉並区永福3-56-29
電話:03-6379-1351
営業時間 10:30~19:00(17時頃に売切れることも)
月曜定休(木曜不定休)

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