Uターン

地方就職への憧れ就活生も

確かに動き出している!地方への就職志向

ある日の都内女子大、就活準備の講演後に二人の女子大生が質問にやってきました。

「あの、地方で就職したいんですが、
どうしたらいいですか…」
「Uターン希望ですね、ご出身は?」
「あ、いえ、出身は東京なんですが」

それは長く大学で講師を務めてきた中でも、初めて受けた想定外の質問でした。「確かに動き出している!」…その時、確信しました。地方創生の掛け声とともに「田舎暮らしのススメ」的なテレビ番組も多く見られる中、ついに大都市圏の女子大生にも地方就職という選択肢が広がってきたのか…と感慨深いものがありました。目に見えてきた変化の向こう側には、その何倍もの潜在需要が生まれてきているはずです。

地元企業に共通の思い「Uターン学生を採用したい」

「Uターン希望の新卒を採用したい」という思いは、地元企業にとっての共通した願い。反面「大都市圏で学び・遊び、視野を広げた大学生」を採用まで導いていく難しさとともに、「採っても続かず(早期離職)」の現状に直面している企業も多くあり、人事担当の方々の悩みは尽きません。また地方自治体にとっても同様の願いがあります。

このまま高齢化が進めば地域そのものの存続さえ危ぶまれる中で、若年層を呼び込む「魅力ある故郷づくり」が火急の課題となっています。そんな中での学生の「地方回帰への思い」は、一筋の光明であることは間違いありません。この機会を本当に大切に、官民交えていかに的確な動機形成をできるか…まさにこれからの数年が正念場となるでしょう。

「Uターン学生」採り込みのチャネル

Uターン希望学生を採用するための主なチャネルとしては、現状では以下の3通りでしょう。

【地元の地方新聞社】
就活サイト掲載/業界研究セミナー・合同企業説明会
【自治体やハローワーク】
Uターン就職イベント/求人情報掲載
【大都市園の大学就職課】
求人票公開/インターンシップ/企業説明会

一般的な大手求人サイトへの掲載はコスト面の負担が大きいだけでなく、全国区採用の有名企業に完全に埋もれてしまうことになり費用対効果が見込めません。さらに地方の企業にとっての大きな問題は、「採用担当者がかけられる手間と時間」と「大都市圏との距離」でしょう。

そもそも中小企業には「人事部」という部署そのものが無い場合も多いために、採用活動は経営者が直接動いたり、総務など主業務以外の者が担当となって出て行くことになります。したがって大都市圏の大学へ訪問を重ねたり、インターンシップ学生を積極的に受け入れることはなかなか難しいのです。現状では採用意欲の高い地方企業は、地方新聞社主催のイベント参加が主な採用チャネルとなってきます。

限られた出会いのチャンスを確実にものにしていくために

限られた出会いのチャンスを確実にものにし、採用へと繋げていくために大切な要素としては…【インパクト】【スピード感】そして【Webサイトの適正化】、この三点は是非取り組んでいただきたいと思います。

【インパクト】
出会いの際に繰り広げられる企業説明のプレゼンテーションでの効果。これに関しては筆者の以前の記事【「会社説明会」参加者80%リターンのプレゼン手法とは】を参照してください。

合同企業説明会のブースは「出会いのフックの場」、求職者の質問に答えるだけでお流れになることの無いように心掛けたいものです。

【スピード感】

地方開催の合同企業説明会に、大都市圏の学生が参加することは珍しくは無くなっています。その際に取りこぼしの大きな要因となるのが【スピード感】の欠如。時間と費用を掛けてせっかく帰郷した学生ならば、その日もしくは翌日には企業訪問へと呼び込んで欲しいと思っています。それが無理なのであれば、翌週にはこちらから出向いて面談するくらいのスピード感が欲しいですね。採用活動の【スピード感】は誠意の表現であって、【躊躇】は不採用のサインだということを求職者は知っています。

【Webサイトの適正化】
消費人口の少ない地方企業の特徴としてBtoB企業が多いことが挙げられます。一般的にBtoB企業のホームページは学生にとっては難解なものが多いもの。また、消費者が直接訪れることの少ないホームページは簡素で味気ないものです。思い通りに企業見学が叶わないUターン学生にとっては、ホームページが大切な情報源となりますから、この機会に自社ホームページの見直しと共に、スマホ対応の対策(モバイルフレンドリー)を是非施しておきたいものです。

大切なこと!「Uターン希望の動機に寄り添わない」

「生まれ育った地元に戻りたい…」

地元企業の採用担当者から見ればこの気持ちは非常に嬉しいもの。何の問題もなく採用まで辿り着けるように思えます。しかし、Uターン希望の学生の心をそのまま受け取って採用した結果、「早期離職」に悩まされる企業が現実には本当に多いのです。それは「そこで働くこと」が動機の一番目になっていないからです。新卒は働いた経験が無く、仕事の始まりは何でも楽しいものではありません。スキルが無い新卒であれば尚更。「条件」で求めた求職者は「条件」に躓きます。人間は無い物ねだりですから……。

「そこで働く意義は」
「地元に貢献するとは何?」
答えを見つけられない学生には、教え込むぐらいの採用が必要です。

「そこで働いて、そこで稼いで、そこで納税する…」
当たり前の社会参加の仕組みが見えなくなっている大学生も本当に多いものです。動機の肝を間違えると、あっけなく「早期離職」へと繋がってしまいます。

地方創生の施策「LO活」プロジェクト

この秋から国の施策として「地方人材還流促進事業」(※LO活/Local+就活)が繰り広げられることをご存じでしょうか?

これは厚生労働省の委託事業として実施されるもので、首都圏(栃木・茨城・群馬・山梨を除く)、近畿圏(和歌山、三重、福井を除く)の200大学内でU・I・Jターン希望者を対象に「セミナー/個別相談会」を開催し、地方自治体と地方ハローワークさらには移住・交流情報ガーデンなどと連携して、新卒人材を地方に供給していく環境を創りだす施策のこと。WebサイトやSNSを活用した情報提供も行われ大きな効果が期待されています。

まずは2016卒・次年度就活の2017卒がその中心となりますが、新卒学生を求める地方企業は、忘れずに地元ハローワークに求人票を提出しておくことをお薦めしたいと思います。


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