世界遺産/アフリカ・オセアニアの世界遺産

ロイヤル・エキシビジョン・ビル/オーストラリア(4ページ目)

19世紀のゴールドラッシュからオーストラリアを見守り続けてきた世界遺産「ロイヤル・エキシビジョン・ビルとカールトン庭園」。多文化が共存し、文化と自然を愛する「ガーデン・シティ」メルボルンの象徴を案内する。

長谷川 大

長谷川 大

世界遺産 ガイド

得意ジャンルは世界遺産・世界史・海外情勢・海外旅行・哲学・芸術等。世界遺産マイスター、世界遺産検定1級文部科学大臣賞受賞。出版社で編集者として勤務したのち世界一周の旅に出る。現在は東南アジアを拠点に海外旅行を継続しながらフリーの編集者・ライターとして活動。訪問国数は約100、世界遺産は約250に及ぶ。

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悦楽のメルボルン街歩き

州議事堂付近からの景色。遠くにロイヤル・エキシビジョン・ビル、手前は馬車、地面のレール上はトラムが走る

州議事堂付近からの景色。遠くにロイヤル・エキシビジョン・ビル、手前は馬車、地面のレール上はトラムが走る

カールトン庭園は出入り口にゲートなどがいっさいなく、メルボルン市街と直接つながっていて、人々は朝に、昼に、夜に自由にここを訪れくつろいでいる。カールトン庭園は人々とともに「生きている」世界遺産なのである。

普遍的価値を永久に守らなくてはならない世界遺産をこんなに自由に開放してしまっていいのだろうか?

100年以上の歴史を持つ建物が生きているメルボルンの街並み。いたるところにカフェやバーがあり、人々がくつろいでいる

100年以上の歴史を持つ建物が生きているメルボルンの街並み。いたるところにカフェやバーがあり、人々がくつろいでいる

たとえばエルメスやアルマーニなどのブランドものを見るついでに、ブランドが入っている建物をちょこっと見上げてみてほしい。街には19世紀に建てられた多くの建築物がいまだに壊されることなく生きており、メルボルンの人々はそれを愛し、上手に活用していまに至っている。

建物だけではない。たとえば、ぜひマクドナルドに入ってコーヒーを飲んでみよう。きっとそのコーヒーの味に驚くに違いない。あちらこちらにあるバーで、昼間からビールを飲んでみよう。エールのおいしさに気づくだろうし、ラガーとエールの差なんてものもすぐにわかるようになるだろう。

レストランに行ったら気軽にワインを注文しよう。気取らず飲むワインがとても楽しいことに気づくだろうし、楽しさに気づいたらすぐにシラーズとピノ・ノワールの差もわかるようになるに違いない。

 

文化とは生活そのものだ。自然のすばらしさを知り、その恵みを味わい、生そのものを愛しているからこそ、文化も自然も守られる。言葉にするとなんだかややこしくなってしまうのだけれど、メルボルンの街を歩いていればそんなこと、当たり前に思えてくるはずだ。
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