白亜のロイヤル・エキシビジョン・ビル
ロイヤル・エキシビジョン・ビル北門。門の正面には近代建築で有名なメルボルン博物館が並んでいる
この噴水、当時は動力も使わず68mもあるビルのドームより高く水を送り出していた。いまは水不足で止められていることも多い
翼を広げた白鳥のような全体像はロマネスクの聖堂のようだし、正面の半円のバラ窓を見上げるとゴシックの大聖堂のような迫力を感じる。設計したジョセフ・リードは、ビザンチン、ロマネスク、ロンバルディック、ルネッサンスをはじめ、様々な建築様式を取り入れて、重厚ながら軽快でかわいらしい建物に仕上げて見せた。
おもしろいのが正面玄関にある噴水。天使たちが遊んでいるこの噴水をよーく見てみると、カモノハシやワニ、カメなど、オーストラリアの動物たちが彫られているのがわかる。
メルボルンの歴史とロイヤル・エキシビジョン・ビル
1880年のメルボルン万博ではここがメインのホールとして使われた。現存する世界最古の万博ホールで、永久建造物としての万博ホールは世界で唯一
ホールの様子
ビクトリア朝時代のイギリスは誇りをもってこの万博を開催し、メイン・ホールとしてこのロイヤル・エキシビジョン・ビルを建築した。通常ホールは一時的に建てられるものだが、この建物は当初から永久建造物として設計された。
1888年の入植100周年記念万国博覧会もここで開催されて200万人もの入場者を記録したほか、1901年にオーストラリアとしてイギリスから独立すると、一時は国会議事堂としても使われて、その後州議会の議事堂となった。
世界遺産「ロイヤル・エキシビジョン・ビルとカールトン庭園」は、19世紀後半の産業(万博)を象徴する建物であると同時に、カールトン庭園はオーストラリアに渡った人々の心の豊かさの、ロイヤル・エキシビジョン・ビルは人々の挑戦と誇りの象徴なのである。
ロイヤル・エキシビジョン・ビルに入ってみよう!
ロイヤル・エキシビジョン・ビルのドーム。ガラス窓を並べて光を取り入れているため、内部は意外なほど明るい
博覧会の会場であるために、内部は基本的に大広間がひとつで、ゴテゴテした装飾もほとんどない。しかし、よく見るとなかなか味がある。
まずは窓。まだ電気がなかったため、太陽光を効率的に取り込む構造になっており、中央のドームや玄関門ファサードのバラ窓の透明なガラスによって、内部は電気がなくてもかなり明るくなっている。
シンプルながら美しい内装
中央ドームを支える四方の柱に描かれているのは、春夏秋冬を告げる天使たち。ロイヤル・エキシビジョン・ビルは直接宗教施設だったわけではないが、ビクトリア女王や天使たちを描き、神々と大英帝国を称えている。
なお、現在ロイヤル・エキシビジョン・ビル内部は開放されておらず、中に入るには14時からの内観ツアーに参加しなければならない。ツアーには予約が必要で、ロイヤル・エキシビジョン・ビルの隣にあるメルボルン博物館で受け付けている。詳しくは下記へ。