混合庭園、カールトン庭園の構造
カールトン庭園にあるふたつの池はまるで自然のもののよう。たくさんの鳥たちが羽を休めている
シンプルな姿が美しい
道の周りは街路樹や花壇が規則正しく並び、幾何学的なパターンを作り出している。ところが全体は完全な平面ではなくて軽い傾斜があったりとデコボコで、さすがオーストラリアというようなオークやユーカリの巨木があっちこっちに植えられているのだが、これも自然の森のように適当に置かれている。ふたつある池は位置も形もランダムで、昔からあった自然の池のように鳥が浮かび、魚が泳ぎ、水草が繁茂している。
ヨーロッパ庭園の幾何学美も感じるけれど、なんだか日本や中国の庭園のような風情も感じてしまう。けれど木々や公園の巨大さは、まさにオーストラリア。
建築家ジョセフ・リードは形式を重視した「幾何学式」と、自然をのびのびと表現した「風景式」を混ぜ込んで、このような混合庭園によって、新大陸オーストラリアを開拓した人類の叡智と、オーストラリアの大自然の雄大さを表現した。
カールトン庭園の魅力とメルボルンの文化
ロイヤル・エキシビジョン・ビル正面の噴水。花壇には四季折々に咲く花が植えられている
なぜ人は庭園を愛し、築いてきたのだろう?
緑と調和するロイヤル・エキシビジョン・ビル
これをよく知っているのがメルボルンの人々だ。メルボルンの総面積に占める庭園の割合は、なんと1/4。19世紀のゴールドラッシュ以降、人々は自然を開拓し、街を大きく発展させてきた半面、自然に触れる喜びを忘れることがなかった。
メルボルンはワインやシーフード、肉料理のおいしさで有名だし、アート系の活動もとても盛んな「芸術の都」。それも同じこと。自然のちょっとした喜びを愛し続けてきた心豊かな人々が、庭園を生み、食を生み、アートを生み、メルボルンを生み出した。