恋と自由を愛したナシ族の都 麗江旧市街
中国の都市は城壁に囲まれている。ところが麗江(リージャン:れいこう)には城壁がない。その代わり本瓦葺きの街並みには網の目のように水路が張り巡らされ、橋の下では青い民族衣装を身にまとったおばあさんがのんびり野菜を洗っている。今回は、世界で唯一現存する象形文字を使い、恋と自由を愛したナシ族の都「麗江旧市街」を案内する。
澄みわたる青の街、麗江
麗江旧市街の家並み。青銀の本瓦はこの地方の名産で、陽光を受けて青く輝くその姿は湖にたとえられる ©牧哲雄
麗江の美しい家並みとナシ族の人々 ©牧哲雄
万年雪をかぶった玉龍雪山の岩々は青白く輝いて、ちょろちょろ流れる冷たい雪解け水は澄みわたる青空を照らし、家々の屋根は青黒く光る銀の本瓦葺き、そして人々は青の民族衣装を身にまとう。
街が生まれてから800年。地図の色は変わっても、麗江の色は変わらなかった。人々は大きな戦火にさらされることもなく、男は自由に女を恋し、女は自由に男を恋し、笑い、泣き、働き、祭り、生きてきた。
その生活は街を巡る雪解け水のように青く澄み、近隣の人々は彼らの生活を「蟻ほど勤勉に働き、蝶のように楽しく暮らす」とたたえたという。