マンション相場・トレンド/マンション相場・買い時

2015年上半期マンション動向 売れ筋は?

市況の回復とともに、価格の上昇が顕著になった2015年上半期のマンション市場。上半期のマンション市場を振り返り、価格動向や売れ行きを検証。いまどんなマンションが支持されているのか。人気のトレンドを探ります。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

マンショントレンド情報ガイド


堅調に推移する2015年上半期マンション動向
6月の価格は、昨年同月比で2割超上昇

土地価格の高騰や建築費の上昇といったコスト面の背景と堅調な売れ行きを反映して、価格トレンドが上向きにある首都圏マンション市場。不動産経済研究所発表の首都圏マンション市場動向によれば、2015年6月度の首都圏マンション発売戸数は、前年同月と同数の3,503戸。契約率は、好調な市場を反映して、78.7%と高水準。2015年1月以降、好調の目安とされる70%を連続して上回っています。
豊洲エリア

豊洲エリアは、今後の再開発もあり相変わらず好調だ

一方、1戸あたりの価格は、前年同月比20.4%アップの5,815万円、1平米あたりの単価は、前年同月比21.4%アップの82.9万円と大きく上昇。東京都区部(23区内)の供給比率が全体比53%と高まっていることもあり、大きく上昇しています。しかし、地域別成約率を見ると、都区部(78.3%)、都下(82.8%)、神奈川県(86.5%)、千葉県(74.6%)が70%を上回っているのに対し、埼玉県は、58.7%。エリアやプロジェクトによって売れ行きのバラつきはあるようです。上半期の首都圏マンショントレンドを、好調物件をピックアップしながら振り返ってみたいと思います。

値頃感のある大規模マンションが次々に完売
ブランド立地のマンションに注目が集まる

マーケットを見る上で、一つのモノサシとなるのが大規模マンションの売れ行きです。中でも500戸を超えるようなプロジェクトは、数カ月といった短期間で完売することは無いので、エリアの相場観を形成します。魅力満載の注目物件も多いので、市場価格トレンドの変わり目には、販売ペースが加速します。

例えば、分譲マンションレポートで1月に紹介した『Brillia City 横浜磯子』(東京建物 ほか)。敷地面積は、10万平米超の総戸数1,230戸の大規模プロジェクト。平成26年2月に竣工し、今年1月の取材時点では、100戸超が販売中でした。半年後の完売見通しでしたが、6月には全戸完売しました。販売がスタートした2012年から3年余りの完売ですが今年に入ってからの販売ペースは速かったようです。

また、千葉方面では『ザ・レジデンス津田沼奏の杜』(三菱地所レジデンス ほか)の6月全戸完売がトピックスです。約35万平米意以上の土地区画整理事業の最大規模の29街区に誕生する869邸。免震構造採用し、太陽光発電パネルなど環境負荷の低減に配慮し、中庭など多彩な共用施設を備えた大規模プロジェクト。第1期の登録締切が2014年4月だったことを考えると、比較的短期間に完売したことになります。今後、14街区にて全291戸のプロジェクトが今秋以降に計画されています。地価同様に、マンション価格も都心から郊外へと上昇が推移するので、値頃感のある郊外大規模マンションは堅調です。
短期間に完売したグローバルフロントタワー

短期間に完売したグローバルフロントタワー

湾岸エリアのマンションも好調です。港区では、昨年夏スタートの『グローバルフロントタワー』(三井不動産レジデンシャル ほか)がこの春完売しました。JR山手線「田町」駅10分の免震タワー全883邸。昨年6月に品川ー田町間の新駅計画が発表。注目度がアップし、1年足らずでの完売となりました。豊洲エリアも好調です。新年早々に豊洲6丁目の新街区『ベイズ タワー&ガーデン』(東京建物 ほか)が完売。昨年完売した『スカイズ タワー&ガーデン』(三井不動産レジデンシャルほか)に続き好調さが続いています。6月に販売された、豊洲5丁目の「豊洲」駅5分の全690戸大規模免震レジデンス『パークホームズ豊洲ザ レジデンス』(三井不動産レジデンシャル ほか)も第1期で300戸超を供給するなど好調な売れ行き。都心にアクセスしやすい立地で、商品力の高いマンション人気は相変わらず根強いです。
「ザ・パークハウス グラン 南青山」の現地

注目を集めた「ザ・パークハウス グラン 南青山」の現地

さらに注目なのが、都心のブランド立地のマンションの売れ行き。中でも、『ザ・パークハウス グラン 南青山』(三菱地所レジデンス ほか)は、「表参道」駅徒歩4分の南青山5丁目アドレスという稀少な立地で人気を集め即日完売しました。また、住宅地の公示地価上位の常連の赤坂1丁目に建つ『パークコート赤坂桜坂』(三井不動産レジデンシャル)も短期間に完売しました。六本木通りから桜坂に入った高台で、南側にはアークヒルズやサントリーホールの緑地や広場の希少な立地。両物件ともに「もう出会えないかも知れない」と思えるような稀有な場所。こうした億ション人気の背景には、資産保有者の相続対策としてのニーズの高まりも多少なりともあるようです。
「オーベルアーバンツ神楽坂」の竣工写真

「オーベルアーバンツ神楽坂」の竣工写真

都心エリアのシングル・ディンクス層の実需ニーズも顕在化しています。『プラウド千代田淡路町』(野村不動産)は、6月の第1期が即日完売。東京メトロ丸ノ内線「淡路町」駅徒歩2分の好アクセス。「大手町」駅へも歩ける立地。単身層のニーズを取り込むプランニングで堅調な売れ行きです。他にも単身・ディンクス向けの『オーベルアーバンツ神楽坂』(大成有楽不動産)は、販売スタートから2週間で完売。「神楽坂」駅、「江戸川橋」駅徒歩5分のロケーションの全37邸(非分譲3邸)。立地とともに2LDKワイドスパン中心の間取りも評価が高く、単身層の購入が44.1%、夫婦層が35.3%も占めます。都心のアクセスの良い立地のビジネスパーソン向けの物件も人気があります。

こうして、好調物件をピックアップして見ると、ターゲット層も商品特性も様々であることに気付きます。また、立地だけでなく商品的な魅力が大きいマンションが当然のことながら好調です。立地特性を踏まえつつユーザーのウォンツを意識してプランニングに特徴があるマンションは、価格上昇の影響を感じさせない売れ行きを示しています。

次のページでは、昨年2015年の注目物件として紹介した西新宿、武蔵小杉、目黒の3つのタワーの動向を見てみましょう。
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