絵本/日本人絵本作家

中毒にご用心!ナンセンス絵本の雄・長新太を読む(3ページ目)

長新太さんの絵本は、1度読んだら癖になり、しばらく読まずにいると、中毒症状のように、読みたくて読みたくて我慢できなくなります。そんな不思議な魅力を持った絵本を読んでみましょう。ただし中毒にはくれぐれもご用心!

執筆者:大橋 悦子

じわーり、じわりと楽しさがやってくる絵本『ごろごろ にゃーん』

絵本『ごろごろにゃーん』の表紙画像

頭をからっぽにして長さんワールドを楽しみたい、極上のナンセンス絵本

良い絵本は、絵と文章が互いに補完し合っていると言われます。でも、字のない絵本はあるけれど、絵のない絵本はないわけで、それは絵本の本質ですね。その絵本の本質を、ストレートに表現した絵本が『ごろごろ にゃーん』です。場面ごとに面白さが凝縮された絵を、まずはご覧ください。

飛行機はごろごろ、ねこはにゃーん。「ごろごろ にゃーん ごろごろ にゃーんと  ひこうきはとんでいきます」 そんなフレーズを繰り返しながら、ねこたちの飛行機旅を追っていく絵本です。その繰り返されるフレーズはあくまでもシンプルなのに、絵本の中ではありえない出来事が次々に起こる……そのギャップの面白さも、この作品の魅力の1つですね。

とはいえ、多くの読者にとっては、1度読んだだけでは、なんだかキツネにつままれたような不思議な感覚が残るだけかもしれません。そこを繰り返し繰り返し読むうちに、じわり、じわーりと面白さが背後から迫ってきて、気がつけばすっかり作品の虜になっている……そんな作品なのです。

海を越え、山を越え、時には空飛ぶ円盤を横切ったり、飛んでいる飛行機から魚釣りをしたりと、長さんワールドには常識も時空もあっという間に飛び越えてしまう面白さが、いつも潜んでいます。


【書籍データ】
書籍名:ごろごろにゃーん
作:長新太
価格:864円
出版社:福音館書店
推奨年齢:3歳くらいから
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