絵本/日本人絵本作家

中毒にご用心!ナンセンス絵本の雄・長新太を読む(5ページ目)

長新太さんの絵本は、1度読んだら癖になり、しばらく読まずにいると、中毒症状のように、読みたくて読みたくて我慢できなくなります。そんな不思議な魅力を持った絵本を読んでみましょう。ただし中毒にはくれぐれもご用心!

執筆者:大橋 悦子

古新聞で工作ごころを刺激する!『みんなでつくっちゃった』

絵本『みんなでつくっちゃった』の表紙画像

新聞を見るたびに、何かを作りたくなってムズムズする子が増殖中?

「もりに しんぶんが たくさん おちていました」そんな一文で、このお話は始まります。「どうして新聞が森に落ちていたの?」という突っ込みは、とりあえず無しでお願いします。その新聞を、折ったり、切ったり、丸めたりして、森のみんなが色々なものを作ったのですから。

例えばきつねは、手袋ではなく(!)えりまきを作りました。うさぎがつくったのは、やっぱりワンピース! でも『わたしのワンピース』で有名な、あのうさぎを真似たのではないでしょう。新聞紙を利用しているので、カタカタとミシンを踏むことなく、素敵なロングドレスを完成させたものと思われます。

舟や飛行機を作ったり、野球の道具を作った動物もいます。それらの作品すべてが、焼けて変色した古新聞で作られているにもかかわらず、とても魅力的なのはなぜでしょうか? それは、動物たちの作品から物作りの楽しさが伝わってくるからかもしれません。このような魅力的な作品を見せられたら、子どもでなくても新聞紙で何か作りたくなりますね。

工作道具のイメージ画像

工作道具を用意して、あなたなら新聞紙で何を作りますか?

また、絵本の絵は、長さんの作品には珍しく涼やかな青と緑の2色づかいで、使われた古新聞の風合いがレトロ感を添え、とてもおしゃれな絵本に仕上がっています。画家としてのセンスの良さを改めて感じさせてくれますね。

長さんの作品は、人により好き嫌いが分かれると言われことがありますが、もしも今「ちょっと苦手だなあ」と感じる方がいらしたら、ぜひ皆さんご自身の目で、耳で、もう1度だけでも味わってみていただけませんか。これまで気づかなかった面白さを発見できれば、意外に長さん絵本の中毒になってしまうかもしれませんよ。


【書籍データ】
書籍名:みんなでつくっちゃった
作:長新太
価格:1620円
出版社:大日本図書
推奨年齢:4歳くらいから
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