絵本/日本人絵本作家

中毒にご用心!ナンセンス絵本の雄・長新太を読む(2ページ目)

長新太さんの絵本は、1度読んだら癖になり、しばらく読まずにいると、中毒症状のように、読みたくて読みたくて我慢できなくなります。そんな不思議な魅力を持った絵本を読んでみましょう。ただし中毒にはくれぐれもご用心!

執筆者:大橋 悦子

『キャベツくん』に答えてほしい! 君はいったい何者なのだ?

絵本『キャベツくん』の表紙画像

不思議過ぎる展開に、読者も「ブキャ!」って叫びたくなるでしょう

長新太さんの絵本は、前出の『ゴムあたまポンたろう』のように、人間ではなく「実在しないもの」を主人公にした作品が多いですね。そのため、キャベツが主人公ならばちょっと安心して読める……などと考える方がいらしたら、まだまだ甘いと言わざるを得ません。長さんの絵本ですもの、主人公のキャベツくんが普通のキャベツであるはずがありません。

草原でキャベツくんに出会ったブタヤマさんは、お腹がすいていたのでキャベツくんを食べようとします。そんなブタヤマさんに、キャベツくんが言いました。「ぼくをたべると キャベツになるよ」って。ブタヤマさんはビックリ仰天、おもわず「ブキャ!」と叫びます。その時、なんと鼻がキャベツになったブタヤマさんの姿が空に浮かんでいました。

瑞々しいキャベツのイメージ画像

美味しそうなキャベツでもすぐ食べるのは危険かも?

では、もしもヘビがキャベツくんを食べたら? タヌキやゴリラならどうなるのでしょう? 待ってましたとばかりに、キャベツになった不思議な動物たちが次々と空に浮かびます。食べるものと食べられるものの緊張感を残しながら、画面いっぱいに広がるどこかのんびりした空想は、長さんお得意の摩訶不思議な世界で、小さな読者たちをいつだって虜にします。

こういう絵本は大人も深く考えずに不思議な世界を楽しもう……と常々思っていたのですが、『ゴムあたまポンたろう』に引き続き、とある疑問がわいてきて頭を離れなくなりました。もしかしたらキャベツくんは人間の少年で、キャベツを食べてこんな姿になってしまったのではないかしら? あら、この絵本はライトホラーだったの? そんなことありませんよね? 真相は長新太のみぞ知る……やはり思いっきり不条理な絵本です。


【書籍データ】
書籍名:キャベツくん
作:長新太
価格:1404円
出版社:文研出版
推奨年齢:3歳くらいから
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>> 次は、常識も時空も追いつかない、長さんワールド炸裂の絵本を紹介します

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