年に一度の特別授業
エコール 辻 東京
一昨年末のオープンから雑誌のパン特集を総なめにしてきた新時代のベーカリー「365日」の杉窪さんを、日本の料理界をリードする学校の校長先生がインタビューするという特別授業です。
辻芳樹 / 辻調グループ代表
辻調グループ代表 辻芳樹さん
杉窪章匡 / 「365日」オーナーシェフ
365日 杉窪章匡さん
教室で、杉窪さんが入場する前。校長の辻芳樹さんは辻製菓技術マネジメント学科の学生たちの間で雑談をしています。「今日の先生はね、みんなが普段思っているのと180度違う視点で話をされるかもしれないよ」。
杉窪さんのものごとの考え方、勉強の仕方は、あたりまえのようでいて、刺激的。新しい気づきを得た学生も多かったことでしょう。ここではその授業内容をピックアップしてお伝えします。
授業はインタビュー形式で行われた
「本日お招きした講師は、料理人であり菓子職人でありパン職人でもあるという異色の方ですが、そういったジャンルを超えて、食の職人として今何を考えているのか、これからこの業界に入っていく皆さんに大切にしてもらいたいこと、プロとしての努力などについて、じっくり伺ってみたいと思います」。辻さんが問いかけ、杉窪さんがそれに答えつつ、学生に向かって詳説する、という授業が始まりました。
一流のお客さんを相手にするために超一流になる
―― 学校(辻調理師専門学校)で学んだことは何でしたか。一流のお客さまを相手にするには、超一流になりなさい、ということです。
―― 超一流とは
フレンチのお客さまはお金持ちで高学歴の人が多く、いろいろな経験をされています。ならば、そういう人たちと普通に会話できて、自分の専門分野についてはさらにもっと上の話ができるというのが超一流というのではないかなと思っています。
お客さんのほうが自分より豊かな食経験をしているかもしれない、ということ。これは授業中、何度か提議されました。若い職人たちが対面する現実。しかしそのことを把握しておけば準備ができる。その瞬間から学びの充実した時間が始まります。