ストレス/家庭・育児・嫁姑・義理づきあいのストレス

「説得」より「報酬」で子どものやる気を伸ばす方法(2ページ目)

子どもに「○○しなさい!」「どうして○○しないの!」といくら説得しても、効き目がない――。そんなときには「報酬制度」を上手に活用して、自発的に学習や生活管理ができるように導いてみませんか?「トークン・エコノミー」という行動療法の活用についてお伝えします。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

「報酬」で行動習慣を身につける「トークン・エコノミー」

はんこ

トークン・エコノミーの運用にはハンコを活用してもよい

「やらない子」をやる気にさせるには、仕掛けが必要です。仕掛けの一つに「トークン・エコノミー」という方法があります。トークンとは、擬似通貨のこと。擬似通貨のやりとりを通じて、適切な行動を学習させていくのが「トークン・エコノミー」という行動療法です。

平たく言えば、目標を達成したらごほうびやおこづかいをあげる「スタンプ集め」や「シール集め」などの報酬制度ことです。実践している人も多いと思いますが、長続きしないという声もよく聞きます。それは、このシステムを効果的に運用できていないせいではないかと思います。たとえば、次のような点に心当たりはありませんか?

トークン・エコノミー失敗のありがち例

●親子で話し合っていない、「守れるルール」を決めていない
親だけで決めたルールを子どもに課していませんか? 厳しすぎたり、項目が多すぎたりして、守りにくいルールになっていませんか?

●評価があいまい、対象の行動があいまい
「この行動ができたら○点」というように、評価対象を具体的に決める必要があります。対象外の行動にも報酬を与えるなど、評価が曖昧になってはダメです。また、重点的に強化したい内容(「宿題スケジュール」、「部屋の片づけ」など)のみをテーマにするのがコツです。

●ペナルティ・ルールを決めていない
ルール上のことについてウソをついたり、ズルをした場合、その週の報酬はすべて消滅させるなど、ペナルティ・ルールも決め、きちんと適用しましょう。

●報酬の支払日が遠すぎる
大人の報酬は月払いが定番ですが、子どもは早く報酬を手にしたいもの。日払い、週払いなど、子どもの年齢や希望に合わせて調整を。

●報酬をうまく活用させていない
趣味や娯楽の消費は、このシステムで得た報酬から支払わせるなど、「自分が稼いだ報酬で楽しむ」という体験を積極的にさせましょう。

●運用に失敗した後、ルールが放置されている
一度の取り決めでうまく運用できる方が稀です。やりにくいところを親子で協議して、親子双方が「守れるルール」にしていきましょう。

トークン・エコノミーは、子どもの個性や年齢、目的合わせて自由にルールを決めて実践できます。ぜひ、子どもに合った内容を親子で一緒に考えてみましょう。次のページでは、トークン・エコノミーのメリット・デメリットについてお伝えします。

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