ストレス/家庭・育児・嫁姑・義理づきあいのストレス

「説得」より「報酬」で子どものやる気を伸ばす方法(3ページ目)

子どもに「○○しなさい!」「どうして○○しないの!」といくら説得しても、効き目がない――。そんなときには「報酬制度」を上手に活用して、自発的に学習や生活管理ができるように導いてみませんか?「トークン・エコノミー」という行動療法の活用についてお伝えします。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

トークン・エコノミーのメリットは?

買い物をする子ども

トークン・エコノミーは効果大。ただし、過信しすぎてはいけない

トークン・エコノミーには、「子どもをお金や物で釣るなんて」と抵抗感を感じる方も多いのですが、このシステムのそもそものねらいは、自発的に達成しにくい行動を習慣として体得させることです。したがって、目標の習慣が身についたら、親子で話し合って報酬の対象をより高度な内容、より複雑な内容にシフトさせていくことが大切です。それによって、「できる行動」と「成功体験」を増やしていくことができます。

ただし、現金報酬の場合、合算すると結構な出費になりますので、親の財布は痛いです。とはいえ、子どもの趣味や娯楽の支出はすべてこの報酬から支出させれば、逆に子ども周りの無駄な出費を減らすことができます。また、子ども自身、「自分の財産」だと思えば無駄使いを控えるようになります。

トークン・エコノミーのデメリットは?

とはいえ、トークン・エコノミーにはデメリットもあります。それは、報酬制度に頼りすぎることで、勉強や生活管理への内発的動機づけを高めるチャンスを奪ってしまうことです。つまり、「報酬がなければ勉強する気がしない、片づける気がしない」というゆがんだ意欲を招いてしまうことがあります。これを「アンダーマイニング効果」と言います。

したがって、トークン・エコノミーは、子どもの様子を見ながら年齢や個性に合わせたルールに変えていく必要がありますし、またいずれは、この制度自体から卒業する必要もあります。「便利な方法」と頼りきらず、子どもの気持ちと心の成長によく着目して、上手に運用していくことが大切です。

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