1995年がインターネット普及元年
20年前の1995年は大変な年でした。1月17日に阪神淡路大震災が発生。情報が錯そうする中、神戸市職員が、被害の様子をデジカメで撮り、インターネットで世界に送り続けたことがテレビなどで報道されたことから、大災害時の通信手段の一つとしてインターネットが役立つことが認識されました。同じ1995年の暮、11月23日「勤労感謝の日」にWindows95が発売されます。秋葉原、大阪・日本橋、名古屋・大須など各地の電気屋街には深夜に向けて続々と人が集まり、店舗前には長い行列。午前0時ジャストにWindows95販売が開始されますが、深夜のカウントダウン・イベントがテレビや新聞で大きく採りあげられ、お祭り騒ぎとなります。
テレビを見ていた人への宣伝効果はバッチリで、Windows95をきっかけに、はじめてパソコンを買う人が続出。今はオタクやサブカルチャーの街となった秋葉原ですが、パソコンや周辺機器を求める人で賑わう電気屋街として発展していきます。Windows95にはInternet Explorerなどインターネットの機能が標準搭載されていました。
Windows95を買えばインターネットが簡単に始められるというイメージ戦略もあって、人気に拍車をかけます。簡単といってもモデムに接続するために暗号のようなコマンドなどを覚える必要はありました。ただWindows95がきっかけで個人や企業へ急速にパソコンが普及していきます。
インターネット接続したらホワイトハウスへ
パソコンを買い、インターネットへ接続するようになると、まず見るのがホームページ。大企業を中心にホームページが開設されはじめた時代で、数も多くありません。ホームページを見るには雑誌などで紹介されたホームページのURLを間違えないように入力するか、1996年に始まったYahoo! Japanを使いました。Yahoo!Japanなら大分類から中分類へと、どんどんページをたどって、最終的に求めるホームページを見るような時代。Google日本語版がスタートするのは2000年で、キーワード検索は先の話です。
雑誌で紹介されていたホームページの定番がホワイトハウス。ホワイトハウスやビル・クリントンの写真が掲載されていましたが、皆の目当ては大統領ではなく、猫の「ソックス」。ホワイトハウスでペットとして飼われていた猫で、毎日、たくさんの手紙やプレゼントが届きました。
世界一有名な猫 「ソックス」
クリントン大統領がまだアーカンソー州知事時代、娘さんがピアノ教室から帰る途中に、飛び込んできたのがソックス。そのままクリントン家のペットになりました。クリントン大統領が誕生し、家族と共にソックスもホワイトハウスへ引越。ファーストペットとして新聞などで紹介され、一躍有名になりました。そこでホワイトハウスのホームページではアニメ化されたソックスがホワイトハウスの案内役になっていました。ソックスの鳴き声もアップされていて、世界中のインターネット・ユーザーが楽しんでいましたが通信速度が遅かったので、鳴き声を聞くのに10分以上もかかった時代です。鳴き声を聞くためにパソコンをはじめて買ったという人もいました。
ところがソックスに受難の時期が訪れます。クリントン家の新しいペットとしてラブラドールレトリバーの「バディ」がホワイトハウスにやってくると、ソックスはファーストペットの座を追われてしまいます。それが理由というわけではありませんが、この犬と猫は犬猿の仲でした。
やがて大統領の任期が終わり、ホワイトハウスを出ていくことになりますが、犬のバディはクリントン家と共にニューヨークの自宅へ。ところがバディと仲が悪いソックスの行先が決まらず、これが新聞報道されるほどでした。結局、ソックスはクリントン大統領の元秘書に引き取られます。2009年、ソックスは長寿を全うしますが、今度は「クリントン国務長官一家の愛猫ソックスが死亡」という新聞記事が全世界に流さました。クリントン元大統領より奥さん(ヒラリー・クリントン国務長官)の方が有名になっていました。
次は「ペンギン、パンダで大騒ぎ」。