プレア・ヴィヒア寺院のレイアウトと見所
第四塔門東面のレリーフ。上はカーラに乗るヴィシュヌ、下はナーガを切り裂くクリシュナ。ヴィシュヌはヒンドゥー教3最高神のひとりで、クリシュナはヴィシュヌの第8の化身とされている
カンボジアの紙幣にも印刷されている第五塔門。レリーフも繊細で美しい
実はこの寺院の東・西・北のいずれも断崖絶壁で、三方から絶景を眺めることができる。しかし、参拝するなら寺院のレイアウト通りに一直線に登り、最後の最後で突如景色が開ける様子を見るべきだろう。それは迷いを経て悟りに至る道程のようなもの。その衝撃もおそらく計算されてのことだ。
プレア・ヴィヒア寺院を構成する種々の建物を紹介しよう。
■駐車場
第五塔門から参道・第四塔門を見上げる。右がリンガ型の石灯籠
■バライ
麓の駐車場近くに見られる四角い貯水池。山上にある貯水池と同様、特に乾季の渇水対策として使用された。山頂からその形がハッキリ見える。
■石段
参道の一部で、駐車場からアプローチすると最初にこの石段に到達する。アンコールでもしばしば見られるナーガの欄干や獅子の神シンハー像が置かれている。石段を下るとタイ国境に至り、その先に進むことはできない。また、タイ側から参拝することもできない。
■第五塔門
ピラミッド状に敷き詰められたプラットフォーム上に建つ塔門で、柱・梁・破風・まぐさ石が残っている程度だが、均整がとれていて非常に美しいことから2000リエル札に印刷されている。冥界の神カーラやヘビの神ナーガなどの神々を描いた破風やまぐさ石の繊細なレリーフも見所だ。
■参道・貯水池
第四塔門近くの貯水池。像はシンハー。山上で水の確保が難しいため、複数の貯水池を用意して補った
■第四塔門
第五塔門から参道を経て階段を登った先にそびる十字状の塔門で、やはりピラミッド状のプラットフォーム上に築かれている。非常に美しいレリーフで知られ、南面にはカーラに乗るインドラ、北面には神々が団結して不老不死の霊薬・アムリタを作り出した乳海撹拌、東面にはナーガを引き裂くクリシュナが描かれている。
■第三塔門
最大を誇る塔門で、東西に宮殿と呼ばれる建物が付随している。ただ、王が住んだという記録は存在せず、実際の用途はわかっていない。塔門のレリーフには、怪鳥ガルーダに乗るヴィシュヌ、聖牛ナンディンに乗るシヴァなどが刻まれている。第三塔門の東側は絶景ポイントとなっているので、一度頂上まで行った後で訪ねてみよう。
■第二塔門
第二塔門の回廊内部
■第一塔門
回廊の内部はサンクチュアリと呼ばれる聖域で、その真ん中に中央祠堂が建っている。中央祠堂の南面の破風には踊るシヴァの姿が描かれており、この寺院がシヴァに捧げられたものであることがわかる。
■断崖
第一塔門の先にプレア・ヴィヒア寺院最高の絶景ポイントが続いている。また、第三塔門の東側や、第一塔門の西側にも絶景ポイントがある。これらも忘れずに。