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中古マンション、買うときにも仲介手数料がかかる理由

仲介会社を媒介して不動産売買契約を締結する場合、仲介手数料の上限額は物件価格×3%+6万円(税別)。これは売る側も買う側も同じ。インターネットで変化した情報探しと報酬について考えてみる。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

高級マンションガイド

 

物件情報の密度の違い

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マイホーム選びにおいて、新築マンションと中古マンションを並行して検討する人は多い。しかし「物件詳細情報の違い」は誰もが感じるところではないか。建物の性能、設備機器、共用部など事細かにまで資料を提供してもらえる新築分譲に対し、中古は質問しなければ得られない場合が少なくない。新築と同じ程度に建物を理解しようと思っても難しいケースのほうが多いのではないか。中古は登録販売が一般的な新築とは異なり、早い者勝ち。売主も仲介会社も「結論(判断)の早い人に売りたい」という思いがあるだろう。

物件探しはインターネット中心だ。これは新築も中古も同じ。ポータルサイトをチェックし、大手数社のサイトを見れば、市場に出ている物件ラインナップはある程度把握できるだろう。

つまり、情報収集から行動(見学)までは新築も中古も大きな違いはない。ときに比較検討の段階で「中古情報が物足りない」と感じる。これでは買う側は仲介手数料の解釈に悩む場面がもあるのでは(もちろん内覧段取りという作業をお願いするわけだが)。

そもそも仲介手数料はインターネットのない時代からの商慣習である。かつて住まい探しをする人は、近所または知り合いの不動産会社(店舗)をたずね、自分の条件を伝え見合った物件情報を集めてもらう。仲介業者は毎日配布される「マイソク」といってチラシの束のような資料を一枚一枚めくり、候補物件をピックアップ。提供できそうなものを絞り込んでいく。成功報酬だからいい加減な提案は時間を失うだけ。引き受けるからには必ず決めるという覚悟がいっただろう。住まい探しをする人にとっては頼りになる存在だったはずだ。

レインズの役割の変化

「レインズ」*は不動産会社間で物件情報を共有するシステムである。仲介会社を1社に限定する専任媒介ではレインズへの登録が課せられる。専任を選択した売主は全国の不動産業者に情報を発信できる、というわけだ。90年代から本格稼働したレインズだが、00年代に入ってからはインターネットが台頭。前述のように能動的な買い手は自らサイト上で物件が探せるようになった。仲介会社の経営戦略は多店舗展開の地域密着型に加え、ホームページ充実も重要テーマになった。
*Real Estate Information Network System、不動産流通標準情報システムの略称

仲介会社は20年前ならレインズを見て物件情報を得る。新聞の折り込みチラシや看板を設け、買う人を待つ。現在はレインズも閲覧はするが一般媒介情報はポータルサイトをまずはチェックするだろう。買う人を探す場合もポータルサイトに出稿だろう。とくに都市部はインターネットが効率的である。

多様化する取引に対応可能な制度を

仲介手数料の上限は売買代金の3%+6万円(税別)で買いも売りも同じ。ITの進化によって仲介会社の役割も大きく変わってきたわけだが、報酬制度だけが昔のままという見方ができなくもない。現実には「仲介手数料無料」を謳い文句に客を集めようとする企業(サイト)が出てきている。制度の形骸化とまではいかないが、過渡期であることは間違いなさそうだ。

「最近は単純なマイホーム購入だけではなく相続、離婚、投資など動機が多様化。面積拡大の買い替えに加え縮小の買い替えも増えている」とは不動産流通経営協会理事長竹井英久氏(三井不動産リアルティ代表取締役会長)。仲介業務の依頼内容も多様化している模様だ。

マイホーム探しに限定してみれば、ネットを活用して情報を集めることができる人は(仲介会社のサイト充実化のための投資や諸手続きに対する報酬は無論理解できるだろうが、とはいえ)「買い」と「売り」が同じ報酬という考え方に納得できているのだろうか。現実的な制度の普及を期待したい。市場の拡大が一層見込まれる中古分野だけに。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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