「シャイニーゲイ」を脱臼させる試み
ちょっと前にゲイの間で流行っていた新語として「シャイニーゲイ」というのがあります。ゴトウは最初に「シャイニーゲイ」って言葉をTwitterで見たとき、クラブでイェイイェイ騒いでるイケメン集団とかゲイバーでチヤホヤされるタイプのイケメンとかをイメージしたのですが、ちょっと違ってました。仕事もプライベートも恋も充実してて、リッチで、健全で、休日には（イケメンな）お友達を呼んでホムパを開いたりして、幸せなゲイライフを送っている人たち、というニュアンスみたいです。ポップなレズビアンタレントとして活躍中の牧村朝子さんが2CHOPOで「シャイニーゲイ」について書いていて、面白かったです。彼女のまとめによると、シャイニーな方たちは、イケメンで彼氏持ちなのは前提として、高級感（オシャレさ）を感じさせ、パレードとか結婚式とかに参加して幸せそうである、要は「リア充」「意識高い系」であるというまとめでした。特に「シャイニーゲイ」というワードのツイート数が東京レインボープライドの当日に突出して多くなったというデータは興味深かったです。
以前このサイトで「ゲイは見た目が10割？」みたいな記事を書いたことがありますが、ずっと「イケメン」「ブス」という見た目基準で語られることがほとんどだったのが、ライフスタイルを含む基準軸になってきたとも言えるわけで、それだけゲイの世界が豊かになってきたってことの表れなのかな？って思います。
どなたかも指摘していましたが、「シャイニー」って思われてる当の本人たちは、別に自分が「輝いてる」なんていう意識はないと思います。「シャイニー」っていうのは、影の側からの「まぶしさ」の表現で（影があって初めて光が発見された）、「私がシャイニーゲイです」って自称する人はいないのです（「わたし全然シャイニくない」っていう自虐はあっても）
輝いてる人たちを見て「まぶしい」って思ってつい揶揄しちゃう、その気持ちはよくわかります。輝いてる人を見れば自分がなんだかみじめに思えます（脳内BGMはThe Smithsの「Heaven Knows I'm Miserable Now」）。ゴトウも若い頃は、輝いてる人たちを見て「キーッ」ってハンカチを噛んでました。でも、二丁目に精通した方は同意していただけると思いますが、「光」の世界と「闇」の世界は別々のものではなく、すぐそばでつながっていたりします。両方を軽やかに行き来することもできますし、その方が楽しいですよね。
ここで、元祖「シャイニーゲイ」である美輪様のお言葉をご紹介しましょう。「楽あれば苦あり。むやみにうらやましがることはありません。＜正負の法則＞を知っていれば、ねたんだり、うらやんだりする必要がなくなってきます。人間は必ず平等にツケを払わなければならないのです」
一見「シャイニー」に見える人であっても、実は彼氏がいなかったり（いても喧嘩ばかりしてたり）、体にコンプレックスがあったり、仕事でものすごいストレスを抱えていたり、複雑な家庭環境で育ってたりするかもしれません。すべてのことがうまくいっているかのように見えるけど、真実は…なのです（えてして、輝いてる人は苦労人だったりするものです）
逆に、ゴトウ自身、全然リッチくないし（明日をも知れぬフリーランス）、ゲイのヒエラルキーの最下層に属する貧乏女装クラスタとして「自分はブスだとやたらアピる」人種で、どちらかというと「闇」属性の種族でもあるので、口が裂けても「シャイニー」だなんて言えませんが、なんだか十分過ぎるほど恵まれた、楽しくハッピーな人生を送ってきました。ちっともシャイニくなくても幸せに生きられるのです（私が証明です）
そんなわけで、この際「シャイニー」は無効（使えない）ってことにして、他人がどうであれ、自分が夢中になれることを見つけて打ち込めばいいし、人生楽しんだもん勝ち！くらいの前向きさでやっていけば、自ずと人生も輝いていくんじゃないかな？と思います。
何度も引き合いに出して恐縮なのですが、ある方はレインボー祭りでモー娘。かなんかのフリを完璧に踊ってた（踊り狂ってた）という、多くの場合ドン引きされて終わりというシチュエーションで見初められ、そうやって出会った運命の人とずっと幸せに暮らし、たまに女装して踊ったりして、今もとても輝いています。
