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牧阿佐美バレヱ団『ボレロ』インタビュー!(2ページ目)

60周年記念公演シリーズ第一弾となる牧阿佐美バレヱ団の『Unforgettable Evening』。三部作のなかでも注目されるのが、今回日本初演を迎えるピーター・ブロイヤー振付作『ボレロ』です。ここでは、『ボレロ』に出演する菊地研さん、塚田渉さん、久保茉莉恵さん、中川郁さんの4名にインタビュー! 作品とリハーサルの様子をお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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ジャンルとしてはコンテンポラリー? ストーリーなどはあるのでしょうか?

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塚田>物語性はないですね。とにかくダンサーを動かして、ギリギリまで削っていく。そこから出てくるパワーやエネルギーを見せる形です。

菊地>がちがちのコンテンポラリーではないけれど、かなり自由な動きではあります。『ボレロ』といえば、やっぱりベジャールの作品が有名ですよね。ただベジャールの『ボレロ』はひとりがメインダンサーとして踊るけど、ピーターさんの『ボレロ』は大きなリフトがあって放り投げたり、ダンサー同士が組むこともある。主役的なポジションはないかわりに、重要なシーンをソリストが踊ったりするので、印象は全然違うと思います。人間の根源、エロスを振り付けたと聞いていますが、肉体で見せるところが多分そこにつながっていくのではと……。

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久保>私自身初めて踊る感じの振りですけど、踊りの種類的には好きなタイプ。自分の中で表現する作品なので、踊っていてツライなっていう感覚はないし、むしろすごく楽しいです。

塚田>素晴らしいね! 僕はまだそこまで行けてない(笑)。

中川>茉莉恵さんのソロ、大好きです。私もコンテや創作は経験してみたかったので、今回踊ることができすごく嬉しいです。私は放り投げられるシーンが多いんですけど、ピーターさんがお帰りになってから繰り返し繰り返しリハーサルをして、最近になってやっと恐怖心がなくなってきた感じ。ただ今は放り投げられているだけなので、もうちょっとエネルギーだったり自分というものを出して踊りにしていきたいなって思います。

菊地>郁ちゃんは僕のソロパートの後に、僕を踏み台にして飛んでいくんです(笑)。ふたりがかりで放り投げられるから、ひとりに投げられるのよりもうちょっと勢いがつく。あれは大変だと思います。

塚田>僕と中家正博くんとふたりで放り投げます。たぶん4mくらい飛びますね(笑)。

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「三銃士」中川郁 撮影:山廣康夫



作品に臨む上で、古典と違う部分はありますか? 
舞台への取り組みをお聞かせください。

菊地>一定のリズムを刻みつつ徐々に楽器が増えていく……、というのが僕の中の『ボレロ』のイメージ。楽器が増えていくことにより厚みが増し、それをダンサーで表現していく感じです。いかに最後まで曲に負けずにパワーを保っていけるか。指先までしっかり神経を行き渡らせて、それを最後までやり抜いてゆくことが重要になる。やっぱり集中すればするほど、何気ない動きひとつにしてもすごく疲れるんですよね。でも理屈で踊ってしまうとつまらないから、“ここはこうで、ああで”というものをまずは身体に浸透させておき、本番で思い切り発散するというのが、こういう作品で一番大切なのかなって気がします。

久保>私は照明やバックの色とか、自分の中でカラーをイメージしていく感じ。舞台に立ったときの自分の心境を想像します。

中川>役柄をつくるという部分で、やっぱり古典とは取り組みが違う気がします。

塚田>古典は役があるからわりと入りやすいけれど、こういう作品はとにかく体力勝負という感覚が僕の中にあって。体力が切れたところからが勝負というか、そこからが絶対に観てて面白い。こういった作品をやるときは、僕は冒頭からあえて飛ばしていきます。それで、切れたところからどれくらい保つかやってみる。たまに尽き果てることもありますけど、そうしたらまたちょっと自分の中で考えてみたり。どちらにしても、体力的にはかなりしんどい作品ですね(笑)。

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「ライモンダ」塚田渉 撮影:鹿摩隆司



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