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役員の努力なくして、快適なマンションライフは実現しない

国土交通省が4月末に公表した建築着工統計調査によると、2014年度の1年間で11万215戸の分譲マンションが着工されました。

同省の平成25年度マンション総合調査によると、1マンション当たりの平均戸数(団地型を含む)は101.1戸なので、棟数に換算すると、昨年度1年間で約1090棟(11万215戸÷101.1戸)の新築マンションが着工されたことになります。1マンション当たりの理事(役員)の平均人数は6.1人(同総合調査)であることから、データ上、178人(1090棟÷6.1人)の新米理事が誕生する計算になります。

前段のマンション総合調査によると、72.7%の管理組合が順番制で役員を選んでおり、念願のマイホームを手に入れ、新たなマンションライフに胸をおどらせている最中に、突然、管理組合から役員への就任を打診されることになります。

そこで、「どうしようか…」と悩むわけですが、役員になると何をすればいいのか?―― そもそも、実際の活動内容を知らないことには最適な答えを導けません。そうした悩める役員候補者の皆さんにお役立ていただけるよう、本稿では役員の具体的な活動内容をご紹介します。

快適なマンションライフの実現に尽力するのが役員の使命 

役員(理事)の業務についてはマンション標準管理規約に記載されており、5種類ある各役員の業務内容をまとめると文末の表のようになります。

理事長は管理組合の代表者であり、同時に理事会の議長として理事運営における司令塔の役割を担います。理事長の業務は多岐にわたり、その時々に管理組合が抱える問題すべてに対処しなければなりません。

たとえば、管理費の滞納者がいれば回収のための方策を検討し、ペット飼育でもめていれば解決策を提案。また、管理規約の改正や大規模修繕工事の準備など、円滑なマンション運営に必要とされる業務に対して方針を示す任務を負います。さらに、高経年マンションでは独居老人の孤独死問題や将来を見据えた建て替えの検討など、難題にも立ち向かわなければなりません。重責であり、かなりの業務量をこなす必要があります。

そこで、補佐役として副理事長を選任し、役割分担を図ります。理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠けたときはその職務をするといった、サポート体制(分散機能)を整えます。もちろん、一般理事にも手伝ってもらいます。理事長や副理事長の求めに応じ、意見を述べたり業務の一部を分担して受け持ちます。

このように住民トラブルの仲裁や消防訓練の実施といった「ソフト面」、建物や各共用設備の保守・計画修繕などの「ハード面」両方において、快適なマンションライフの実現に尽力するのが役員の使命です。

管理費などの横領・着服といった不正会計を監視するのが監事の役目

一方、業務内容が明確に規定されている役員もおり、会計業務を専門に担うのが会計担当理事です。

実際の会計処理は管理会社が代理してくれるので、会計担当理事は管理費や修繕積立金の入金や滞納状況のチェック、電気や水道といった共用部分に関する光熱費の支払い確認など、管理会社が作成してくれる会計資料に目を通すのが主な業務です。

また、組合預金に関する財産状況と各役員の業務遂行状況を監視し、その適正・不適正を判断するのが監事の仕事です。代表的なのが管理費や修繕積立金の横領・着服といった不正会計の監査です。「バレないだろう」と魔がさす愚か者がいないかどうか、目を見張らせるのです。

と同時に、たとえば住民トラブルが多発しているのに理事会を開催せず、解決に向けた対応策を打ち出そうとしない理事長がいたら、業務の怠慢として警告する権限が監事にはあります。「各役員の業務遂行状況の監視」というのは、こうした業務を指します。

役員の業務内容

 

以上、役員の業務内容をご紹介しましたが、これを読んで「やっぱり役員にはなりたくない」と感じた人もいたでしょう。確かに楽な仕事ではありません。文字通り“仕事”なわけです。

しかし、その努力は資産価値の向上として、必ず自身に還元されます。役員の仕事はボランティアではありません。良好なマンション生活を実現するうえでも、役員の存在は欠かせないことを知っておいてください。
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