聖年とは
聖年(Anno Santo, Giubileo)とは、西暦1300年に始まったカトリックの行事で、この年にローマに巡礼すると特別な赦しを与えられるとされます。当初は50年に一度でしたが、現在は、特別聖年を除き、25年に一度となっており、最近では教皇ヨハネ・パウロ2世のもと2000年に節目の大聖年がありました。
2015年3月13日、ローマ教皇選出から2年目を迎え、教皇フランシスコは、「いつくしみの特別聖年(Anno Santo straordinario della Misercordia)」の開催を発表しました。2015年12月8日の「無原罪の祝日」に幕開け、2016年11月20日の「王であるキリスト」の祝日に終了します。
サンピエトロ大聖堂の聖年の扉
サンピエトロ大聖堂に5つある扉のうち、一番右が聖年の扉(Porta Santa)です。2000年の大聖年が終了したあと、この扉は内側からセメントで固められていましたが、2015年11月17日、特別聖年開催を目前に、扉の内部に詰まっていたサンピエトロ大聖堂聖省(Fabbrica di San Pietro)の刻印が入った煉瓦が取り去られました(実はここに聖年の扉の鍵が保管されていたのです)。そして12月8日、サンピエトロ広場でのミサのあと、教皇フランシスコによりにこの扉が開けられ、特別聖年がスタートしました!
世界中からやってきた巡礼者は、この扉をくぐって大聖堂に入るため、長い列に並びます。
サンピエトロ大聖堂で、聖年を開催した歴代教皇をたどる
サンピエトロ大聖堂では、過去に聖年を開催した歴代教皇の紋章や名前をたどることができます。聖年の扉には、聖年を開催した歴代教皇の小さな紋章がはめられています。上の写真では、右枠の3つの紋章のうち、左端が2000年に聖年を開催したヨハネ・パウロ2世のもので、あとの2つはまだ紋章が入っていません。2015年の特別聖年により、次は教皇フランシスコの紋章が入ります。
クーポラから下りるときの出口専用の階段には、過去に聖年の扉の上にはめられていた聖年を記念する石碑が保管されています。現在、聖年の扉の上には、ヨハネ・パウロ2世により開催された1983年の特別聖年と2000年の大聖年の石碑がはめられています(記事冒頭の写真参照)。
その他の大聖堂の聖年の扉
聖年には、バチカン四大バシリカの聖年の扉がすべて開きます。ほかに、サンパオロ大聖堂(右から2番目)、サンジョヴァンニ大聖堂(右端)、サンタマリア・マッジョーレ大聖堂(左端)にも聖年の扉があり、サンピエトロ大聖堂の聖年の扉が開かれたあとに、こちらの聖年の扉も開かれます。
2015年の特別聖年では、12月8日にサンピエトロ大聖堂の聖年の扉が開けられたあと、続いて12月13日にサンジョヴァンニ大聖堂とサンパオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂、2016年1月1日にサンマリア・マッジョーレ大聖堂の聖年の扉が開けられます。つまり、すべての聖年の扉をくぐれるようになるのは、2016年1月1日以降です。
ローマ以外でも、世界中の聖年の扉がある教会で扉が開きました(日本にもあります)。11月29日には、ローマに先がけ、中央アフリカ訪問中の教皇が、首都バンギの司教座大聖堂で、聖年の扉開門儀式を行いました。
これらの聖年の扉は2016年11月13日に閉じられ、聖年の締めくくりとして11月20日にサンピエトロ大聖堂の扉が閉まります。