ひばりさんの激動の生涯を1時間の作品に凝縮するにあたり、苦労された部分といえば?
リン>とても苦労しましたし、本当に大変でした。計4週間かけて日本で創作していますが、それだけでは足りずにニューヨークでも多くの時間をこの作品に費やしています。彼女の人生に起きたさまざまな出来事を映像や音楽と共に表現しているので、振付だけの作業に留まらないことが沢山あります。
踊りのスタイルは、バレエもあるし、コンテンポラリーもあるし、セクシーなセクションもあります。ひばりさんもまたその全てをアーティストとし
て表現してきた。振りは頭の中で事前にイメージしておきますが、私自身はもう踊ってみせることはできないので(笑)、あとはダンサーとのコラボレーションになります。実際のステップはやはりダンサーと一緒にやらないとできないですからね。ダンサーからも沢山のインスピレーションを受けていますし、みんなとても楽しんでやってくれています。
久保>リンさんがNBAバレエ団に振付をするのは今回が二回目。NBAバレエ団との作業で生まれることはもちろん沢山あるし、ダンサーたちも本当に楽しんでいるなというのは僕も見ていてすごく感じます。バレエカンパニーはダンサーのためにあるものであり、やはりダンサーが楽しそうにしている姿を見るのが一番ですよね。
創作の手応えはいかがですか?
リン>前回日本に2週間滞在したときはいろいろ実験的なことをやりましたが、今回は明確なものがあるので、それを具現化しているところです。今回の滞在中におおよそ完成させて、また本番の2~3週間前に来日して仕上げる予定です。ちょっと大変なペースですね。でもこうやってぎゅっと凝縮した形で取り組む方が興奮します(笑)。
この作品を通して伝えしたいものとは?
リン>偉大なアーティストはどこにいても偉大です。ひばりさんは非常に特別な存在だと思います。エディット・ピアフもやはりとても貧しい出で
したが、そこから這い上がってあれだけの人生をつくり上げてきたのは本当にすごいことだと思う。ステージではひばりさんが武道館でスピーチしたときの様子を映し出すシーンもあり、実際に彼女がそこにいるかのような感覚になるでしょう。ひばりさんが本当に舞台に生きた、そこにいたということをお客さまに感じてもらえたら嬉しいですね。