昭和の歌姫・美空ひばりの生涯をバレエ化しようと考えたきっかけをお聞かせください。

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リン>
昨年の6月にNBAバレエ団の振付けのため来日していたのですが、そのときたまたまテレビでひばりさんの映像を見たのがきっかけでした。いわゆる歌謡ショーではなく、ひばりさんが歩んできたアーティストとしての功績、彼女の歌を通してその生涯を紹介するドキュメンタリーフィルムです。映像を見ている内に、彼女の豊かな表現力とあり余る情熱に圧倒されて……。

シャンソン歌手のエディット・ピアフやジュディ・ガーランドなど、多くの人々に感動を与えることができるのは世界中でも本当に限られたアーティストだけ。世界のほんの数人だけが、深い感動を人々に与える力を持っている。彼女はまさに、その数少ないアーティストのひとりだと強く感じました。そこで、これはぜひ舞台化した方がいいと久保さんに提案したんです。

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久保>
当初リンさんから言われたのは、誰か日本人の振付家に創作してもらったらどうかということでした。でも彼女自身ブロードウェイのショーなどで活躍している振付家であり、せっかくならリンさんに振付けてもらうのが一番いいということで、彼女に創作をお願いすることにしました。

リン>久保さんに勇気付けられる形で、この作品を私自身が手掛けることになりました。私にとって興味深かったのは、テーマが歌だったということです。この『HIBARI』という作品は、純粋なバレエ作品というよりはむしろショー。私が普段手がけているミュージカルやショーにはたいてい歌があるので、私にとって非常にやりやすいテーマでもありました。



ひばりさんの人生をバレエ化するのは本作が初めてですね。
企画を打診した際、先方の反応はいかがでしたか?

ph

 

リン>
(ひばりさんのご子息の)加藤和也さんに企画をお話したら、彼もすごく興奮してくれました。昨年の11月に日本に来たときに初めてお会いしましたが、ひばりさんの写真集や資料を用意してくださったりと、いろいろサポートしてくれています。

久保>加藤さんは最初からとても協力的でしたね。バレエ団のリハーサルにも足を運んでくださったり、全面的にバックアップしていただき、とても助かっています。音楽に関してはコロムビア・レコードに著作権がありますし、映像に関しては各方面に渡っているので手続きはなかなか大変ですが、そういったことも全てひばりプロダクションのバックアップによって助けられています。

ph

 

リン>
この作品でお金儲けを考えてはいけないということですね(笑)。一番は、彼女の人生に捧げるという想いが強くあります。ひばりさんという女性は突出したエンターテイナーであり、彼女の人生を舞台化していく以上、しっかり向き合っていかなければいけない。この運命的な出会いを前に、きちんとした作品を提示しなければという気持ちで挑んでいます。