第一種低層住居専用地域、渋谷区「松濤・神山町」
低層マンションの魅力についてはこれまで繰り返し触れてきたが、今回は具体的に渋谷区の低層住宅地域に所在する物件をレポートしよう。まずは、同区内の第一種低層住居専用地域の希少性について。渋谷区は「渋谷駅」周辺がすり鉢状に窪み、その東と西が隆起した地勢である。東が日赤病院や広尾中学校のある丘。西が松濤・神山町一帯である。山手通りの内側で限定した場合、渋谷区内の第一種低層住居専用地域は3か所しか存在しない。上記2か所に、白金長者丸に続く恵比寿3丁目の丘陵の一部である。「渋谷区都市計画図」参照(濃い緑色が第一種低層住居専用地域)
それらにおいて、もっとも区画が規則性をもって整理され、また道路幅員も十分で規模の大きなエリアが松濤・神山町である(広尾の丘も同程度の大きさを有するが低層地域の中央を走る、「渋谷橋」から「南青山7丁目」に抜ける道の両サイドが容積率300%であるため、低層地域としては分断されてしまっている)。松濤・神山町が、他区を含め比して都心有数の邸宅街として知られているのは、こうした地形、面積、道路整備、そして家並みなど景観を司る条件が有機的に整ったからであろう。
専有面積 147.65平米 【分譲価格 2億2,000万円】
当該エリアの新築物件から2住戸を取り上げる。まずはAタイプから。専有面積は147.65平米(約44.66坪)2Bedroom。専用庭及び専用駐車場付き。価格2億2,000万円、坪単価にして@492.6万円である。建物全体の解説は「まったく新しい発想の高級マンション CASE」参照。居室は緩やかな曲線の壁によって構成されている。内覧では図面からイメージするほどの特殊性は感じず、それより印象的なことは天井の高さと柱梁のない空間である。
天井高は1階が約2.7m、地下階が約2.8m。通常は水回りスペースの天井が数十cm下がることが少なくないが、キッチンでも2.7mと総じて高い。加えて柱梁のない壁式構造であるため、数字からだけでは想像しきれない空間の広がりを実感できる。地下階はエントランスに入らずに出入りできるため、「離れ」のような感覚で利用できる。