森で出会える動物たちは、種や季節によって遭遇確率もまちまち
それでは、実際に森ではどんな動物たちに出会うことができるのでしょうか。代表動物の現地語(フィンランド語)での名前と特徴、遭遇確率、活動時間帯などをまとめてみました。
■クマ(Karhu/カルフ)
巨体に反して、表情豊かでのんびり無防備に歩く姿は、安全な場所からいざ目の当たりにすると微笑ましく感じられる
クマは、フィンランドの自然界の王者として、昔から象徴的に崇められています。
フィンランドで一番人気のビールの名前とパッケージデザインも、ズバリKarhu。フィンランドで見られるのは体長2.5~3メートルの巨体を持つヒグマで、動物や魚だけでなく森の小さなベリーまでなんでも食べる雑食種。観察場所での遭遇確率は一番高いと言えます。5月に入ると徐々に冬眠から目覚め始めますが、6月頭ごろまでは発情期であまり食欲がないので、毎晩見られるというわけではありません。けれどこの頃は運が良ければ、交尾シーンや子連れの家族を見ることができるかも! その後は、食べ物を求めてさまよう熊たちにほぼ毎晩出会うことができます(ガイドは7月末の取材時に一晩で約10頭のクマを見ることができました)。9月に入ると、紅葉した森を背景に朝日や夕陽に照らされる、美しいシーンの撮影チャンスが到来しますが、いっぽうクマたちは紅葉シーズンから徐々に冬眠準備を始めるので遭遇確率が下がり、10月末にはほとんどのクマが眠りについてしまいます。時間帯としては、夕方から夜更けにかけて活発に見られます。
■クズリ(Ahma/アハマ)
フサフサの尻尾を揺らしながらちょこちょこと走り回る姿が愛らしいクズリ
体長60~105センチくらいで、体毛は黒く、長い尻尾とイタチのように尖った鼻先が特徴。北半球の北部のみに生息する、ご当地ならではの希少動物です。見かけはかわいいけれど、実は強靭な歯と顎で大型動物の肉や骨をも噛み砕いてしまう、なかなかの凶暴種。雑食なので、木の実やベリーも好物です。2~3月頃から活発に動き始め、10月ごろまでは、週に2,3回くらいの確率で遭遇することができます。冬に出産期を迎えるので、夏のおわり頃までは親子連れで見られる可能性も高いそう。夜行性なので、基本的に夕方から明け方まで一晩中見られるチャンスがあります。
■オオカミ(Susi/スシ)
フォトグラファーたちの憧れの的、オオカミはフィンランドでもこのエリアでしか出会えないPhoto:Kari Kemppainen
かつては北半球全土にさまざまな亜種のオオカミが生息していましたが、多くが絶滅してしまい、今日では主に北部でしか見ることができなくなりました。この森に棲んでいるのは、ロシアオオカミという亜種で、こちらも現在では絶滅危惧種指定。フィンランド国内でも、ロシアに接するこのエリアでしか見られないので、実はボレアール・ワイルドライフ・センターにはるばるやって来る動物写真家の一番のターゲットはクマではなくオオカミなのです。とはいえやはり難易度は高く、遭遇確率は年間を通して週1回程度。出会えればラッキーな貴重種と言えます。
森のかげから突然颯爽と姿を表すシカやヘラジカも要チェック Photo:Kari Kemppainen
以上3種がボレアール・ワイルドライフ・センターの宿泊小屋のある森の3大人気ターゲットですが、その他に、
ワシ(Kotka/コトカ)、ヘラジカ(Hirvi/ヒルヴィ)、シカ(Metsäpeura/メッツァペウラ)なども遭遇できるチャンスがあります。
※
次ページでは、宿泊小屋のタイプと出発までのスケジュールをご紹介!