乳児育児/赤ちゃん育児のお悩み解決

赤ちゃんがおっぱい大好き⁉︎ 「おっぱい星人」どうすべき?

ママのおっぱいが大好きな「おっぱい星人」の赤ちゃん。長い子育ての中で授乳期のみの限られた期間だとわかっていても、お母さんにとっては心身の負担になることもあり、やめ時は大きな悩みどころです。お母さんを悩ませる愛しい「おっぱい星人」について考えてみましょう。

執筆者:千葉 美奈子

 赤ちゃんがおっぱい大好き!愛しいけれど大変な「おっぱい星人」

赤ちゃんがおっぱい大好き……おっぱい星人との付き合い方

おっぱい星人に泣かれるとツラい

母乳を頻回に要求し、休ませてくれないお子さんのことを「おっぱい星人」と呼ぶお母さんたちがいます。「うちの子、おっぱい星人で大変!」という口調の中には大きな愛を感じるものですが、実際に、1歳をすぎても時と場所を選ばずおっぱいをせがまれ、拒否すると泣かれ続けるようなケースもあり、その渦中にいるお母さんたちは大変です。

我が家の末っ子も、2歳半ごろまでおっぱいが大好きでした。上の子たち4人は色々な状況下で1歳前に割とスムーズな断乳を経験したのですが、末っ子の時はなるべく長く母乳を与える時期を楽しみたく、朝と就寝前のおっぱいタイムは2歳半ごろまで続け、その後、自然に卒乳していきました。

上の子たちの時に早い段階で母乳をやめた背景には、「職場復帰を機会にやめることにした」「歳の近い子どもたちのお世話で疲労感が強く、自分がやめたかった」などがありました。終わらない夜泣きにヘトヘトになり、「おっぱいをやめればピタリと止まる」という経験談にすがったこともあります。
 

おっぱい星人との別れにはきっぱりした態度も必要

まず、お母さん自身が色々な事情で母乳を与えることをやめようと考えている場合です。

続けられる限り続けようと思っていらっしゃる方もいる中で、やはりおっぱいを吸わせている期間というのは、体力的なつらさを感じたり、行動が制限される部分もあって大変なもの。復職を機にやめる場合や、次の妊娠を希望しており体調を戻すためにやめることを選択する方もいるでしょう。

1歳前後になってくると、こちらがことばで説明しようとしている内容は少しずつ理解できるようになってくるので、色々な事情でおっぱいをやめる場合は、やはりシンプルなことばで繰り返し説明してあげてほしいなあと思います。それぞれの親子の会話の個性があり、どう伝えるのが正しいとは言い切れませんが、「おっぱいはもう、おしまいにするよ」としながら何度も再開したり、「段々減らしていこう」という難しい注文を出すよりは、「いつでやめよう」と決めたらお母さんもその姿勢を貫いた方が、子どもも気持ちの整理をつけやすいと思います。
 

まだおっぱい星人との時間を楽しみたい場合

次に、本当はもう少しおっぱいを吸わせていてもいいかなあと思うのに、お母さんの意思とは違う理由で、続けるかやめるか悩んでいる場合です。

「1歳を過ぎたらおっぱいへの執着が強くなる」という意見を目にした後で、「十分吸わせた方が安定した子になる」という意見を目にすることも。これらはそれぞれが「個々のケース」であり、お母さんとお子さんの数だけ、その物語は存在します。続けるかやめるかを決めるのは、お子さんと相談した上でのお母さんの自由。にもかかわらず、1歳前後~2歳前後に断乳を考えている場合に、次に挙げるような断乳や卒乳に関する通説によっても、心が乱されがちです。実際のところ、どうなのでしょうか?
 

よく眠るようになる・よく食べるようになる…断乳・卒乳に関する俗説

■ おっぱいをやめると夜中に泣かなくなる?
生後半年を過ぎても夜中に数回泣かれて授乳をしたり、何をしても泣きやまない夜泣きに悩まされていると何でもいいから解決法がほしいという精神状態になります。その方法を色々さがしている時に目につきやすいのが、「おっぱいやめたらピタッと泣かなくなった」という体験談です。

しかし、私も乳幼児向け講座でたくさんの親子の方々と接し、おっぱいにまつわる体験談を聞いてきましたが、たまたまそうなるケースもあれば、そうならないケースもたくさん。「おっぱいをやめたのに、なぜ夜中に泣くの?」という気持ちに陥る場合もあるようですが、それもそのはず、機械のように、「こうしたらこうなる」というものではないのです。ちなみに我が家の夜泣きがひどかった子の場合にも、まったく効果はありませんでした。

■ おっぱいをやめると離乳食が進む?
外遊びを楽しむようになると、おっぱいへの執着が少しずつ和らぐ場合も

外遊びを楽しむようになると、おっぱいへの執着が少しずつ和らぐ場合も

「離乳食が進まないのはおっぱいのせい?」と感じる場合もあるようです。それは、まだ赤ちゃんが離乳食よりもおっぱいを必要としているということ。近年の母乳育児においては、離乳食はあくまでも、母乳やミルクで足りない栄養を補うための「補完食」として、1歳半ぐらいまでの間に様々な口触りや歯応え、素材、メニューを食べていけるようサポートするという考え方が主流になっています。ですから、離乳食を「進める」ためにおっぱいをやめるのは、赤ちゃんが摂りやすい形で栄養を摂らせるということからはずれてしまいます。

赤ちゃんの顔色がよくないことをきっかけに血液検査をし、鉄欠乏性貧血貧血という結果が出ると、離乳食があまり進んでいないことと結び付けてしまう場合も多いようです。確かに離乳食には母乳やミルクだけでは足りなくなってくる鉄分を補う目的もありますが、母乳に含まれる鉄分はとても吸収力がよいことがわかっており、母乳を続けながら焦らず離乳食に取り組むよう指導される場合も多いでしょう。自己判断で母乳をやめてしまわないでください。

■食の細い幼児、おっぱい星人ぶりが原因?
おっぱいへの執着が子どもの育ちに悪い影響を与えているのではないかという思いに、とらわれすぎてはいないでしょうか。
おっぱいだけじゃないよ! 興味を持って遊びに集中

おっぱいだけじゃないよ! 興味を持って遊びに集中

お子さんの日中の遊びの様子は広がっているでしょうか? 体を動かして遊べているでしょうか? 2歳前後になると、活動内容をどんどん広げていきます。意欲を持って体を動かして遊べているかを見てあげてください。食が細くても背が伸びるタイプの子もいますし、おっぱいの回数も、以前と比べるとお昼寝や夜の就寝前に限られるなど、減ってきているのではないでしょうか。まだまだおっぱい星人だけど頑張っている様子をあらためて発見することができると、お母さんもうれしいですよね。

今、まとわりついてくるおっぱい星人たちに少し疲れているお母さんたちが、お子さんと相談したうえで自分らしい選択ができますよう。「おっぱいをやるかやらないか」という問題に集中しがちなテーマを、少し引いて考える材料にしていただければと思います。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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