フィンランド/ヘルシンキの観光・お土産

カウリスマキ映画の趣き満点ナイトスポット、アンドラ(2ページ目)

清楚で美しいイメージの強調されるフィンランドですが、映画監督アキ・カウリスマキの作品を見て、やや空気の淀んだノスタルジックなヘルシンキの街に思いを馳せている人だっているでしょう。そんなディープな界隈に足を踏み入れたければ、アンドラというナイトスポットがおすすめ!なんとカウリスマキ兄弟自身がプロデュースしたバーが主体となったエンタメ施設で、映画の世界さながらの渋いムードに浸れます。

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド

カウリスマキ兄弟のこだわりがつまった娯楽ビリヤードバー、コロナ

コロナ内観

酒場とビリヤード場が一体となったコージーな雰囲気のバーには、かつての娯楽としての酒場文化の再興を願うカウリスマキ兄弟の思いがこめられている

アキ&ミカ・カウリスマキ兄弟とその仲間たちが1992年に設立したコロナは、ビリヤード&バーというちょっと珍しい組み合わせが売りの娯楽バーです。

バーカウンター

ガードマンがおらずとも秩序が守られ、人々が和やかにくつろぐレトロバー

深刻なアルコール社会問題を反映して、戦後にさまざまな飲酒制限法を強いてきたフィンランド政府。時によっては、蒸留酒は月1回までしか買うことのできないスタンプカード制度や、バーでビールを1杯買うごとにパンなどの軽食も合わせて購入しなければいけないなんていう驚き呆れる規則もありました。その厳格な規制も徐々に緩みつつあり酒の入手が容易くなった90年代は、もはやかつてのように「楽しく、時にしみじみとお酒を飲む」という文化がすっかり薄れ、酒はただ浴びるように飲みまくるのが上等!という迷惑な酔っぱらいたちが酒場文化を牛耳るようになります。この状況に一石を投じたのが、カウリスマキ兄弟がプロデュースし、自らオーナーとなったコロナでした。

ビリヤード

バーの奥のビリヤード台はプロプレーヤーたちにも人気の本格派で、予約がベター

彼らは、自分たちも含めて誰もがもっと楽しく心地よくお酒の飲めるバーを、という思いで、今でもフィンランドのバーの入り口では当たり前に目にするガードマンを雇わない代わりに、酒の値段を少し高めに設定することで、バーの秩序を守ることにしました。店内には、ニューヨークの古き良きストリートバーなど各国の心地よいバーのムードも取り入れながら、自分たちの映画に登場しても違和感のないようなレトロな雰囲気作りを徹底。さらには飲みながら仲間内で遊べるビリヤード台も設置することにしたのでした。ちなみに店名は、ヘルシンキ郊外で60-70年代に大流行していたカフェバーの名前をもらったのだそうです。ドリンクメニュー以外には、創業以来トーストが人気メニューなので、訪れたらぜひ試してみてください!コーヒーなどのカフェメニューもあります。

<DATA>
コロナ(Corona baari & biljardi/コロナ・バーリ&ビリヤルディ)
住所:Eerikinkatu 11, 00100 Helsinki
TEL:+358 20 175 1610 (ビリヤード台は電話予約を推奨)
アクセス:地下鉄「Kamppi」下車徒歩約5分
営業時間:11:00~翌02:00(金・土曜は~翌03:00、日曜は12:00~)
平均価格:アルコール4~10ユーロ、ビリヤード台利用1時間7,2ユーロ~

ソ連停滞期の記憶を留めるノスタルジックバー、カフェ・モスクワ

モスコヴァ内観

煌々と光る赤いネオンに、モザイク張りのスチールカウンターなど、現代の北欧趣味とはかけ離れたレトロ空間

コロナの左隣に1年遅れてオープンし、外観からでは営業しているのかどうかもわかりにくいほどにひっそり佇むもうひとつのバーが、また別の趣向でレトロ好きを楽しませてくれるカフェ・モスクワ。このバーのテーマはずばり、隣国であるフィンランドにも大きく影を落とした、1970年代以降の停滞期を迎えたソ連の気だるいムード。赤色が基調色となった店内のインテリアの趣向は、現在もてはやされている北欧デザインの趣きからはもはやかけ離れた独自性を放っています。

ジュークボックス

入り口そばにおいてある古めかしいジュークボックス

このモスクワもカウリスマキ兄弟がプロデュースしたお店で、新たにバーを増設した意図は、連日大繁盛のコロナの喧騒はもはや話し声も聞こえにくいほどだったので、今度は誰も来ないような、だからこそ落ち着いて話をしたり飲んだりできるような物静かなバーを作りたいと思ったから、だそう。店内では実際に『過去のない男』のワンシーンなども撮影されており、カウリスマキ映画に漂う陰湿なムードをより静かに味わうには持ってこいの場所と言えるでしょう。

店名

入り口にはロシア語のキリル文字でさり気なく店名が書いてある

<DATA>
カフェ・モスクワ(Kafe Moskova/カフェ・モスコヴァ)
住所:Eerikinkatu 11, 00100 Helsinki
TEL:+358 20 175 1620
アクセス:地下鉄「Kamppi」下車徒歩約5分
営業時間:毎日18:00~翌02:00
平均価格:アルコール4~10ユーロ

 

最終ページでは、イベント開催時にだけ覗くことができる地下のラウンジ&劇場のようすをチェック!

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