運動と健康/柔軟性・姿勢・コンディショニング・身体の動き

正しい頭の位置は?頭頂を意識すれば正しい姿勢に変わる(2ページ目)

【理学療法士が解説】姿勢を正しくしたいなら、正しい頭の位置を覚えましょう。「頭頂を意識する」というシンプルで簡単な方法で、姿勢は自然に整います。「あごを引く、胸を張る」は本当に正しいのか、今回は姿勢を動物の視点と自律神経の視点から解説します。シンプルなコツで今日からさっそく正しい姿勢を手に入れましょう。

中村 尚人

執筆者:中村 尚人

理学療法士 / 運動療法ガイド

理想の姿勢は、鳩尾(みぞおち)が引き上がるイメージ

鳩胸(はとむね)、鳩尾(みぞおち)となぜかヒトの胸は鳩に例えられます。みぞおちは語源が「水が落ちる」ですから、当て字ということになります。

胸を張るというと、みぞおちを開くというイメージが強いかと思います。そのために、多くの方は肩甲骨を背骨方向に寄せるでしょう。確かに胸は張りますが、背中も反ってしまうので、胸椎の自然な湾曲が減少してしまいます。これではいい姿勢どころか逆に腰への負担が増加してしまいます。また、お腹も伸びてしまい、これも腰への負担を高めます。

先ほどご紹介した、頭頂を持ち上げた感覚にすると、胸は開かずに持ち上がります。「開く」と「持ち上がる」は大きな違いです。

持ち上がる時には、鳩尾が「引き上がる」イメージになります。重力に負けない動きですね。その際肩甲骨は寄せず、胸の前に呼吸が入るような感じになります。また、同時にお腹が引き上がっていると、正しい引き上がりと判断できます。お腹は引き上がると薄くなり引き締まります。ポッコリお腹の改善にも効果的ですね。
 

姿勢と自律神経の関係

肋骨は肺などの臓器含め体の前にあるので、それだけでも重さが前にかかって体を前に倒そうとしています。頭頂を伸ばすと、自然と胸が持ち上がります。これによって肺は楽に広がりやすくなり、自然と胸式呼吸になります。

よく健康のためには腹式呼吸が大事と言われます。しかし、実際は自律神経の影響で、胸式と腹式は循環しています。いい姿勢をとるときには交感神経が優位になり、胸式呼吸になります。リラックスすると副交感神経が優位になり、腹式呼吸になります。

つまり、いい姿勢とは基本的には交感神経の影響があるのですね。だらだらした生活をしていると、いい姿勢にもならないということが分かります。そして生活に張りがあると、いい姿勢になるとも言えます。皆さんの生活はいかがでしょうか?
 

キーポイントは「遠くを見る」こと

以上見てきたように、正しい姿勢は「遠くを見る」がキーポイントです。

都市では、ビルが乱立し仕事はそのビルの中。携帯やPCは目の前……。遠くを見る機会が本当に減っています。ときどき夕日を見たり、星を眺めたりして、本来の姿勢を取り戻しましょう。

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