プエブラ観光ではずせないエリア、チョルーラ
メキシコシティより車で約2時間半で着く世界文化遺産都市プエブラは、メキシコシティから日帰りもできるアクセスの良さで、観光客に人気のスポット。でも、せっかくプエブラまで行くのなら、最低1泊はして、その郊外にあるチョルーラへも足をのばしたいものです。チョルーラは、メキシコの歴史やメソアメリカ文明のなかでも重要な場所のひとつで、メキシコでは最も古く、25世紀以上の歴史を持つ古代都市です。現在の行政区は、古代神殿の中心部だった歴史遺産保護区を、サンペドロ・チョルーラ(San Pedro Cholula。Cholula de Rivadaviaとも呼ばれる)といい、その他の地区をサンアンドレス・チョルーラ(San Andres Cholua)として分けていますが、一般的には、両地区を合わせて、「チョルーラ」と呼んでいます。
サンペドロ・チョルーラとサンアンドレス・チョルーラは、その歴史と文化の深さにより、「プエブロ・マヒコ」(メキシコ政府観光局が美しい自然、豊かな歴史、文化遺産を守る自治体にのみ与える「魔法の村」という称号)に指定されています。また、チョルーラには、365もの教会があります。
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プエブラからチョルーラへのアクセス
バスターミナルCAPUのチョルーラ行きバス乗り場の表示看板 (C)CAPU
最も経済的にチョルーラへ行くには、プエブラからバスを利用します。運賃7.5メキシコペソ(約60円)でチョルーラの中心街、セントロ・デ・チョルーラ(Centro de Cholula)まで行くことができます。
旅行者にとってわかりやすいのは、プエブラの中央バスターミナCAPU(カプ)内の「Sub urbano(スブ・ウルバーノ)」という乗り場から出発する「Super Rapidos(スーペル・ラピドス)」というバスを利用する方法です。
ただ、チョルーラからプエブラ市内へ戻るのには、タクシーを利用したほうが効率がいいです。なぜならば、プエブラ直通のバスを利用するためには、チョルーラ中心部から車で8分ほどのLa ruta Quetzalcoatl (ラ・ルータ・ケッツアルコアトル)という街道沿いのショッピングモール、Plaza la ruta (プラサ・ラ・ルータ)まで行かなければなりません。
もしもバス利用の際には、マクドナルドやスターバックスのある道側で、バスを拾います。その際に、プエブラ中心街のCentro de Puebla(セントロ・デ・プエブラ)への直通である「Directo Quetzalcoatl(ディレクト・ケッツアルコアトル)」というバスを選ぶようにしましょう。
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■Plaza La Ruta(プラサ・ラ・ルータ)
住所:5 de Mayo (Recta a Cholula), San Andres Cholula, Puebla
アクセス:チョルーラ中心部Centroから車で約8分
メキシコシティからプエブラまでのアクセスや、長距離バスターミナルの所在地など、プエブラの基本情報を案内しています>>>かわいいタイルが街を飾る!世界遺産のプエブラ案内
チョルーラ観光の見どころ
タラベラ焼きタイルに覆われたサンフランシスコ・アカテペック教会
古代神殿の上のカトリック教の町、サンペドロ・チョルーラ
チョルーラは、1519年に、スペインの征服者エルナン・コルテスが、「スペイン以外でこんなに美しい都市を見たことがない」と感嘆しながらも、徹底的に先住民の文明を破壊しつくした最初の場所です。そんな残酷な歴史を象徴するのが、サンペドロ・チョルーラであり、侵略者たちが、重要なモニュメントであったピラミッドを埋めて、その上にカトリック教会や修道院を建てました。サンペドロ・チョルーラを代表する歴史的モニュメントが、トトナカ文明の遺跡とされるピラミッド、「ラ・グラン・ピラミデ・デ・チョルーラ(La Gran Piramide de Cholula)」です。正式名称は、トラチウアルペトル(Tlachihualtepetl)。ナワトル語で、「手作りの丘」という意味を持つその名のとおり、外観は緑に覆われ、上部に教会が建っている丘にしか見えません。しかし、中身は5~8世紀ごろに建てられたピラミッドであり、幅404メートル、高さ64メートルで、現存するピラミッドでは世界最大幅とされ、アメリカ大陸最大でもあるのです。内部の通路の総距離は8キロメートルにおよびます。このピラミッドが面白いのは、その内部の700メートルを、実際に入って見学できること。狭く入り組んだ通路から、階段や先スペイン期の壁画などを見ることができます。
ピラミッドの上部には、1594年に建立された、サントゥアリオ・デラ・ビルヘン・デ・ロス・レメディオス(Santuario de la Virgen de los Remedios)教会があります。そこから眺める、チョルーラの町と雄大な活火山、ポポカテペトルの姿が美しいです。
また、ピラミッド近隣のフランシスカーノ・デ・サンガブリエル修道院(Convento Franciscano de San Gabriel Arcángel)は、1529年に建設が始まり、1549年に建立された、メキシコで最も古い教会建築のひとつです。鷲の羽毛を持った蛇の姿をした古代文明の神、ケッツアルコアトルを祀る神殿が破壊され、そのうえに修道院が建てられました。その内部の図書館にあたる部分の壁画は、合計1.5平方キロメートルにおよぶフレスコ画の大作で、修復作業が2014年に終わり、現在は一般公開されています。
修道院の横には、多くの先住民の職人が建築作業するために1540年に建てられた、カピージャ・デ・インディオス(Capilla de Indios)と呼ばれる礼拝堂があります。
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■Zona arquelogica de Cholula (ソナ・アルケロヒカ・デ・チョルーラ)
住所:8 Norte 2, Centro Ceremonial, San Pedro Cholula, Puebla
TEL:(222) 2 47 90 81
アクセス:チョルーラの中心部コンコルディア広場(Plaza de la Concordia)から 徒歩約11 分。ソリア公園(Plaza Soria)の前。
開館時間: 9:00 ~ 18:00 無休
料金:52メキシコペソ
■Claustro de Convento Franciscano de San Gabriel Arcángel(クラウストロ・デ・コンベント・フランシスカーノ・デ・サンガブリエル・アルカンヘル)
住所:Cholula de Rivadavia,San Pedro Cholula,Puebla
アクセス:ピラミッドから徒歩約9分。 チョルーラの中心部コンコルディア広場(Plaza de la Concordia)の前。
開館時間: 11:00~17:00/火~金曜、10:00~18:00 /土、日曜
入場無料
先住民バロック様式の衝撃的な教会
スペイン侵略後に教会の建立に従事した先住民たちの感覚が混じって生まれたのが、メキシコ独自のバロック様式です。土着が混じった過剰装飾のインパクトがあり、インディヘナ・バロック(先住民のバロック様式)やニュースパニッシュ・バロック(ヌエバ・エスパーニャのバロック様式)と呼ばれ、世界じゅうの建築マニアを熱狂させています。なかでも、サンアンドレス・チョルーラにあるサンタマリア・トナンツィントラ(Santa Maria Tonantzintla)とサンフランシスコ・アカテペック(San Francisco Acatepec)の、16世紀に建てられた2つの教会は必見です。ちなみに両教会は歩いて5分以内の距離にあります。
まず、大地の女神を祀るサンタマリア・トナンツィントラ教会は、先住民の200におよぶ職人たちが、2世紀かけて作りました。教会内の天井や壁にある、おびただしい数のモチーフには、先住民の神の姿と似た天使や聖人、カカオをふくむ、果物、野菜などのメキシコならではの農作物が多く使われていることから、先住民の自然や大地への崇拝とカトリック信仰の融合を実感します。
いっぽうサンフランシスコ・アカテペック教会は、内装はさほど凝っていませんが、外観には、プエブラ特産の陶器=タラベラ焼きの美しいタイルをふんだんに使っています。職人たちが、100年もの歳月をかけ、タイルを貼り続けたという建物は、地元のランドマークであり、人々から愛されています。
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■Iglesia de Santa Maria de Tonantzintla.(イグレシア・デ・サンタマリア・トナンツィントラ)
住所: Av. M. Hidalgo o, San Diego, Sta María Tonanzintla, 72828 San Andrés Cholula
(Googleマップ)
アクセス:チョルーラの中心街から南へ車で15分。
開館時間:毎日9:00~ 18:00
■Templo de San Francisco Acatepec(テンプロ・デ・サンフランシスコ・アカテペック)
住所:Puebla 6, La Purísima, San Francisco Acatepec, 72875 San Andrés Cholula
(Googleマップ)
アクセス:Iglesia de Santa Maria de Tonantzintlaから徒歩3分
開館時間:毎日9:00~ 18:00
大学都市ならではの活気あるナイトライフ
旅行者にはあまり知られていませんが、メキシコのなかでも最高に音楽を楽しめる都市のひとつが、チョルーラです。サンアンドレス・チョルーラには6つの大学があることから、若者たちが集まるバーやクラブのような夜遊びスポットがたくさんあります。とくに、レゲエ、エレクトロニックミュージック、ジャズ、ファンクといったジャンルが人気。夜遊びスポットが集中しているのは、町の中心部、セントロ(Centro)のLa 14 Oriente(ラ・カトルセ・オリエンテ)という通り周辺です。コンサートやDJイヴェントが毎週末開催されます。取材協力(Agradecimiento a)Ricardo Guzman( Ducado Records)