『麦ふみクーツェ』
4月10日~19日=世田谷パブリックシアター 4月23~26日=シアターBFRAVA!『麦ふみクーツェ』撮影:阿部章仁
大阪の劇場シアターBRAVA!10周年を記念して、素敵な舞台が企画されました。原作は、とある港町を舞台にユニークな人々が活躍する『麦ふみクーツェ』。いしいしんじさんによるこの傑作小説を、映像、音楽、演劇の融合という形で舞台化します。脚本・演出はウォーリー木下さん、音楽監督はCMへの楽曲提供でも知られるトクマルシューゴさん、主人公の“ねこ”役に渡部豪太さん。尾藤イサオさんや田中利花さんといったミュージカルのベテランも脇を固めます。原作の不思議な風合いがどうステージで表現されるか予想がしにくいだけに、これまでにない、オリジナルな舞台と出会えそうです。“観客参加型”とのことですので、ご自宅に楽器や音の出るものがある方はご持参を!(無い方は手拍子でOK)
『麦ふみクーツェ』撮影:阿部章仁
指揮者になるという夢を持つ少年“ねこ”。彼にしか見えない存在“クーツェ”の言葉に導かれながら、彼は様々な人々と関わっていきます。それぞれにいわゆる“障害”や“悲しみ”を抱えている彼らと真っ白な心で交流してゆくうち、“ねこ”は知らず知らず人間的な成長を遂げてゆく…。最後に“ねこ”がたどり着くのは?
『麦ふみクーツェ』撮影:阿部章仁
『麦ふみクーツェ』撮影:阿部章仁
主人公を無心に演じる渡部さん、彼が出会う女の子“みどり色”をやはり透明感を湛えて演じる皆本麻帆さんら、キャストも好演。旅の果てに二人がついに“麦ふみ”を体験するラストは、“つながり”を求める人間の本質の暗示のようでもあり、またシンプルな動作から生まれる“音楽”の原点を見せるシーンでもあり。あたたかく、ほのぼのとした音楽に満ち溢れながら、人間の根源を垣間見せる、深淵なステージです。特に“オーガニック”という言葉に魅力を感じる方なら、きっとたまらないほど愛おしい作品でしょう。
*次頁で『アニー』以降の作品をご紹介します!