「さわれる絵本 読めるおもちゃ」をめざしたエリック・カール
エリック・カールは、『はらぺこあおむし』の制作にあたり「さわれる絵本 読めるおもちゃ」をめざしたと伝えられています。でも彼の絵本を見ると、その考えが『はらぺこあおむし』だけに表現されているのではないとわかります。そこで、ここでは「読めるおもちゃ」というコンセプトが強くでているしかけ絵本をご紹介します。「読者を楽しませたい」というエリック・カールの想いがひしひしと伝わる作品です。
しかけの工夫を楽しみたい!動く絵本『みつばちとどろぼう』
動くしかけ絵本『みつばちどろぼう』は、表紙からしかけがあって読者をたっぷり楽しませてくれます。はちみつを盗みに来たクマを撃退するみつばちハニーのお話はスリル満点。描かれた絵も鮮やかで、羽化した「はらぺこあおむし」を彷彿とさせる蝶も登場し、「はらぺこあおむし」のファンの方にも楽しい内容になっています。施されたしかけはしかけのためのしかけではなく、物語の流れの中で楽しみながらお話の世界に入り込めるように工夫されていますから、「読めるおもちゃ」というねらいがきちんと形になっています。しかけそのものもしっかりしており、壊れにくい部類に入ると思います。しかけ絵本としては地味な印象があるのでしょうか、ご存じない方も意外と多いのですが、ぜひ1度ご覧になっていただきたい作品です。
【書籍DATA】
エリック・カール:作 小田英智:訳
価格:1728円
出版社:偕成社
推奨年齢:3歳くらいから
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指を入れて遊びたくなる『はらぺこあおむし』ボードブック
さて、ここでちょっと『はらぺこあおむし』の作品群を見直してみましょう。『はらぺこあおむし』にはさまざまなタイプがあり、本の大きさの違いだけでなく、CD付きの『はらぺこあおむし+CD絵本うた』や点字資料『はらぺこあおむし 点字つきさわる絵本』、また日本語と英語の2か国語表記の『英語でも読めるはらぺこあおむし』などもあります。そんな中で、読めるおもちゃの筆頭としては迫力満点の『はらぺこあおむし ビッグブック』を挙げたいのですが、何しろサイズが大きくお値段も高いので、家庭用としてはちょっとおすすめしにくいのです。そこでボードブックの出番です。小さめの判型に丈夫な厚紙でできたこのタイプは、あおむしくんが開けた穴にお子さんが指をいれても壊れにくく、まさに「読めるおもちゃ」という感じ。ボードブックはサイズも小さくお出かけ用にお求めになる方が多いと聞きますが、家の中でも「読めるおもちゃ」として思う存分穴を楽しんでいただけると思います。
【書籍DATA】
エリック・カール:作 もりひさし:訳
価格:972円
出版社:偕成社 (大きさは、12.7x17.8センチです)
推奨年齢:3歳くらいから
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>> 最後は、「さわれる絵本」を2冊ご紹介します